もういい加減、自粛を自粛しろ
関西方面で大きな地震があった2018年6月半ば、大阪へ旅行にいった。
九州から西日本方面を中心に大雨による甚大な被害が出た2018年7月上旬、福岡へ旅行にいった。
これらはただの偶然だ。
地震や大雨があったからその土地へいこうと思ったわけではない。ただ、いきたいと思っていた土地でたまたま、災害が起こってしまったのだ。
このことについて、「災害のせいで避難も余儀なくされている人たちがたくさんいる中で、旅行するとはいかがなものか」という趣旨のご意見を頂戴した。
いかがなものか、という言い分がいかがなものか。
この、災害が起こったらつつましく何事も自粛しなければならないという、自粛をうながす「自粛ムード」こそ控えるべきである。
もういい加減、自粛を自粛しろ
災害の被害が深刻であることは、いやというほど伝わってくる。
連日、テレビや新聞であれだけ報道しているのだ。どの地域でどれだけの被害があったのか、何人がけがをして何人が亡くなってしまったのか、人数までわかる。
降ってわいた避難生活に辟易とし、「ひとまず目の前にある今日や明日を生き抜く」、現場ではそれしか考えられないだろう。
それでは、現場以外にいる第三者のわたしたちができることは、いったい何なのか。
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前提として、私にたいして「こんなときに旅行なんか自粛しろ」と言ってきた方が、実際に災害現場で被害に遭われている当事者なのだとしたら、その言葉のまま言うとおりにするだろう。
よほど私の行動や言動がいきすぎたということだ。
けれど、大抵の場合、こういった意見を臆面もなく投げつけてくるのは、自分だって現場以外の安全な場所にいる第三者であるのだ。
被害に遭われてつらく苦しい思いを味わっている方にたいする思いがつよいのが伝わってくる。
何もできやしないのに、ひとまず自身の行動を制限することによって、なにか尊いものにでも代えようとしているのだ。私にはとても真似できない。
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被害者のことを慮って行動を自粛することにどんな意味があるのか。
第三者側に立つ人間には、できることが少ない。
その限られた役割をだまって遂行しろ。
当事者と関係のないところでまったく意味のないことを議論する暇があったら寄付をしろ。
大阪地震、ならびに西日本の大雨被害支援のため、寄付をつのるクラウドファンディングが立ち上がっている。
災害被害者にとってすこしでも役に立つように、これからの復興の足しになるように、私たちにできることは今のところ寄付だけではないだろうか。
私にはそれ以外に思いつかない。
そして、余裕のある人から順に物資を送ればいい。
この物資に関しても、その場によって必要なものと不要なものがある。
あれもいるだろう、これもいるだろうと想像だけであれこれ送りつけては反対に邪魔になってしまうばかりだ。親切の押し売り以外の何物でもない。
そして、土地と人がすこしずつ元気になってきたならば、あらためて観光にうかがえばいい。
美味しいものをたべて、お土産をたんまり買い込んで、楽しんでから帰ればいい。
さらに土地と人が元気になるように、お金をおとしていく。
被害に遭われて大変な思いをしている現場の人たちに向けての応援の仕方をこれ以外に知らない。
私にあれこれと言いつつ、無駄な自粛を押し付けてくるタイプの人たちには、その人たちにしか知らない具体的な支援の仕方があるに違いない。
ぜひ教えてほしい。ボランティアだろうか。
奉仕精神のつよい彼ら彼女らはもうすでに現地に向かっているのだろう。
詳細なレポを作成して是非とも発信してほしい。
それとも、ボランティアや発信さえも『自粛』するのだろうか。
日本中を覆いこむ自粛ムードを振りはらいたい
悪いことは起きてしまったが、誰も悪いことはしていないのだ。
自粛する意味合いも生産性もそこには皆無なのである。
一刻もはやく1人残らず全員がそれに気づくべきだ。
2011年、東日本大震災でもそうだった。
事が事だけに、自粛ムードが日本中を包み込んだ。
あの一連の流れから私たちは学ぶものがあったはずである。
テレビで流れつづける津波の映像。被害状況を報道する鬼気せまったアナウンサーの表情。状況を伝える時間は必要だ。
しかし24時間をそれで埋めたことによって生まれた弊害はなんだったか。
逆に不安になってしまう、気持ちがふさぐといった現場の声だったはずだ。
多くの災害被害者が望んだのは、日本国民、いや全国民が、災害そのものを憂えて自粛ムードに迎合し喪に服すことではなかったはずである。
私はそう信じている。
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私はこれからも、どこで何が起きようと、誰がなんと言おうと、行きたいところに行くしやりたいことをやる。
災害が起こったら寄付をし、あらためて旅行にいって土地にお金を落とす。
それが支援だから。
もういい加減、自粛を自粛しろ。
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