仕事、各々のホスピタリティ意識の話
先日、髪を切ってもらった美容師さんのホスピタリティ精神が、私史上ナンバーワンだった。
私はこれまで特定の美容室や美容師さんを決めていなくて、毎回なんとなく気になったところに行っては、指名なしで適当に切ってもらっていた。元々こだわりのないショートだし、短くなればなんでもいいと思っていたのだ。
この前もそんな気持ちで、ただ「安くて早いから」というだけで決めた美容室に行き、いつものように指名なしで、空いている美容師さんに切ってもらったのだけど。
まあ、その美容師さんが、しゃべるしゃべる。
私はそこまで髪を切られている間にしゃべりたい方ではない。雑誌を読んだりスマホをいじったりして、あからさまに「大人しくしていたいです」オーラを出す。
けれど、その美容師さんは流れるように話が止まらなくて、しかも次から次へと繰り出される髪についての雑学が面白くて、びっくりするほど聞き入ってしまった。
・温風で乾かして冷風で仕上げるとサラサラになる理由
・ショートの人は襟足がポイント
・毛の流れは人によって違うからそれに合わせて髪型をつくるべき
・頭だけじゃなく首や肩の骨格も関係ある
などなど、それはもう見事なものだった。
それなのに、カラーとカットで約4000円。かかった時間も1時間ジャスト。同じ時間やお金をかけても、こうまで得られるものが違うと、単純に満足度も違ってくる。
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こういう客商売は、得てして従業員それぞれのサービス精神やホスピタリティ意識が大事になってくるなあ、と思っていて。
あまりに感動したものだから、その美容師さんに「すごいですね。ここまでしっかりと切った後のことまでアドバイスしてくれる方は初めてです」とお伝えしたら、
「ありがとうございます。ここ(勤めている美容室のこと)に来てからやたらとそう言われるようになったんですよ、不思議です~」
と何の気もなさそうに言っていた。本物はさらっとやってのけるのだ。
私も昔はサービス業・接客業に従事していたけれど、思い返してみると、ホスピタリティの「ホ」の字もなかった以前に、存在を知らなかった働き方をしていた。
お客さんが何か質問をしてくるたびに、ああしてくれこうしてくれと要望を伝えてくるたびに、「できることは自分でやれ」と心の中で思いながらイヤイヤやっていたものだ。
接客員として最低である。
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仕事、そしてホスピタリティ意識。
接客業や講師業は心底向いていないとわかり、流れ着いたのが今のフリーライターという仕事だけれど、人は、人のために働いてこそ、満足感や達成感を得られるのだとおもう。
この仕事で、早く「人のためになった」と実感できる日が、くればいいのだけれど。
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