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シナリオ習作 No.01

シナリオセンターに通っていた頃に、課題として提出した作品です。
ペラ換算で20枚。課題のテーマが「アクション」だったので、映像映えするシーンを作れるように意識しました。
自分ではキャラクターが結構気に入っています(笑)

タイトル「マッチングバトル!」

<登場人物>
桜井 小夏(26)女子プロレスラー
原田 愛(26)女子プロレスラー
滝口 雅美(30)元女子プロレスラー。小夏の相棒
織田 友美(24)家事手伝い
佐藤 文紀(27)友美の元婚約者
女子レスラー(20代後半)
会長(50代)
観客A
観客B

○後楽園ホール・俯瞰

中央のプロレスリングで試合が行われている。

○同・リング

ピンクフリルのついたコスチュームに身を包んだツインテールの桜井小夏(26)と、小夏よりも大柄の女子レスラー(20代後半)が戦っている。
女子レスラーにツインテールを捕まれる小夏。両方の鼻から血が吹き出す。


客席「何やってんだよ、桜井!」

女子プロレスラーが、小夏にスリーパーホールドをかける。


女子レスラー「うおぉぉ!」

泡を吹いて白目を剥いている小夏。
盛り上がる観衆。会場にゴングが鳴り響く。


観客A「やっぱ、桜井小夏一人じゃ面白くないよな」
観客B「まあ、ツープラトンが売りだったからなぁ。仕方ないんじゃねぇの?」

リングから担架で運ばれていく小夏。
その姿、リング脇で腕組みをしながら見ている悪役レスラー姿の原田愛(26)。


「あの野郎、腑抜けになっちまいやがって……」

○同・救護室

救護員から怪我の手当を受けている小夏。
しょんぼり肩を落としている。
会長(50代)が入ってくる。


小夏「あ、会長! 今日はすみませ……」
会長「(遮って)桜井、本当にやる気あるのか? お前の事を応援してくれていたファンは今日の試合楽しめたと思うか? 観客を楽しませられないならリングに上がるな!」

ぴしゃりと言い放ち、出ていく会長。
小夏の目に涙が浮かぶ。

○小夏の住むアパート

床に転がっている、傷だらけの小夏。
泣きながら電話をしている。


小夏「やっぱり、私一人じゃ無理です~。雅美お姉さまとじゃなきゃ戦えません~」
(電話越しの)雅美の声『小夏……』

○雅美の住むマンション

乳児を抱きかかえた滝口雅美(30)が電話をしている。


雅美「これまでコンビプレーばかりやって来たから、今さら一人じゃ難しい のかしらねぇ」
(電話越しの)小夏の声『今、全然楽しくないです。早くお姉さまと一緒にリングに上がりたいです。お姉さま、いつ帰って来れますか? 来月あたりには……』
雅美「何言ってるの。先月出産したばかりよ? 一年以上は無理よ。年齢的にそろそろ引退も考えてるしさ」
(電話越しの)小夏の声『(大声)どぅええぇぇ?』
雅美「うるさっ! 声でか・・・・・・。小夏には悪いなって思ってるよ。どうせなら、アンタも結婚して子ども産んで、一緒に休めればよかったのにね」

乳児をあやしながら、冗談交じりに言う雅美。

○小夏の住むアパート

 床に転がったまま、目を見開く小夏。


小夏「やっぱりお姉さまは天才です! そうです! 私も結婚すればいいんです!」
(電話越しの)雅美の声『はぁ?』

○ホテル・宴会場入り口

「婚活パーティ」と書かれた看板が立っている。

○同・宴会場内

100名ほどの男女があちこちで話しをしている。
一人、プロレスのセクシーコスチュームで立ち尽くす小夏。
周りの人々は距離を置きつつ、小夏の姿をじろじろ見ている。
恥ずかしそうに、もじもじしている小夏。


小夏「ちょっと派手だったかな……。お姉様からいただいた一張羅なんだけど……」

小夏に近づいてくる可愛らしい顔立ちの美女・織田友美(24)と数名の男。にやにやしながら小夏に話しかける友美。


友美「あの~、それってコスプレですか?」
小夏「コスプレ? いやいや、違いますよ! これは勝負の時に着る正装です!」

自信満々のドヤ顔で答える小夏。
やや顔が引きつる友美と、その取り巻きの男たち。


小夏「でも今日は正装じゃなくて良かったんですね。婚活パーティとか初めてで、雰囲気分からなくて」
友美「へぇ~、初めてなんですか~」

小夏に耳打ちする友美。


友美「適当に笑っとけばいいですよ。男なんてちょろいもんですから。いいパートナーが見つかるといいですね」

小夏にニコッと微笑む友美。
友美の笑顔にドキッとする小夏。
去っていく友美と取り巻きの男たち。


小夏「はぁ~、可愛い子だなぁ~」
「ただのアバズレじゃねぇか。どうして男どもはそれを見抜けないんだ」

小夏、ぎょっとして振り返る。
と、そこには清楚なワンピース姿にナチュラルメイクの愛が、がに股で仁王立ちしている。


小夏「もも、もしかして、愛さん!?」
「あん? 俺の顔忘れたって言うのか?」
小夏「いや、全然雰囲気違うし。別人みたい。だけど、その口の悪さは間違いなく愛さんだ……。てか、なんでここに!?」
「いちゃ悪いのかよ。婚活くらいすんだろ、普通に」

少し耳が赤くなっている愛。

小夏「ですよね……。私も結婚して家庭に入ろうかなって。お姉様も、もうプロレス続ける気、あんまりないみたいだし……」

しょんぼり顔の小夏。


「おめーは本当にプロレスが好きなのか? それともお姉様が好きなのか? どっちなんだよ? あん?」

小夏を睨みつける愛。


小夏「……」

黙って俯く小夏。


「ちっ、辛気臭い奴だな」

舌打ちする愛。
と、宴会場の一角で悲鳴が上がる。
悲鳴のする方向を見る、小夏と愛。
巨漢の佐藤文紀(27)が包丁を振り回している。

文紀「友美―! 他の男となんて結婚するなんて嘘だよなぁ!? 俺がお前の婚約者だよなぁ!?」

数名の男たちが文紀を取り囲む。
が、包丁を振りかざして抵抗する文紀。
文紀、友美を発見する。

友美「げっ!」
文紀「友美―! 俺と結婚するって言ったよなぁー!」

包丁を振りかざして、友美の方へ駆け出す文紀。

友美「(悲鳴)きゃぁぁぁ!」

バッと友美の前に飛び出す小夏。

小夏「ちょっと、落ち着いて下さーい!」

小夏、文紀にタックル。
文紀、それを受けて床に尻もちを着くが、手の包丁は握られたまま。

文紀「お前も俺と友美の邪魔をする気かぁ!?」

さらに激高する文紀。

「いきなり飛び出すやつがあるか! 相手は凶器持ってるんだぞ」

小夏、文紀が持っている包丁に気づく。

小夏「え、それ本物? デモンストレーションじゃないんですか?」
「バカ! ここはリングじゃねぇ!」

文紀、小夏に近づき包丁を振りかざす。
真っ青になって固まっている小夏。
文紀の背後に回り込む愛。
両手を大きく振り上げて、文紀の肩に勢いよく振り下ろす。(モンゴリアンチョップ)
文紀の手から包丁が離れる。

文紀「ぐあぁっ!」

体勢を崩して、地面に膝をつく文紀。
が、よろよろと立ち上がる。


「ちっ! しつこい男は嫌われるぞ!」
文紀「俺と結婚しろーーー!」

小夏と愛に向かって襲いかかる文紀。
小夏、愛、視線を合わせて頷き合う。
文紀の両脇に組みかかる小夏と愛。
同じタイミングで文紀を持ち上げる。
宙に浮く文紀の巨体。
小夏と愛、体全体を後方へ倒し、文紀を後ろへ投げ飛ばす。(ツープラトン・ブレーンバスター)

小夏「!」

気を失う文紀。
顔を見合わせる、小夏と愛。


小夏「いいパートナーが見つかりました……」
「…?」

キョトンとしている愛。

○後楽園ホール・リング

満員の観客席は大賑わい。
ゴングが鳴る。
リングの中央で喝采を浴びる小夏と愛。揃いのコスチュームに身を包み、手を握り合って、高く掲げている。


小夏「愛さん!」
「あん?」
小夏「この前いただいた質問に答えます。私、プロレスが大好きです!」

満面の笑顔で言う小夏。