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アンドロイド・イン・ワンダーランド

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5分で読める短編SFを掲載しています。 AIが管理する超管理社会の片隅でバーを経営するアンドロイド・アリス。そこが政府管理外区だからか、アリスの特殊能力のせいか、いつもバーには厄…
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#5分で読める

エピローグ アンドロイド・イン・ワンダーランド

 酒場はいつもと違う喧騒に包まれていた。その理由は誰の目にも明らかだ。カウンター越しにバ…

kitaryuto775
2年前
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人工知能の夢、アンドロイドの吐息

 政府アシストコンピューターアテナスの言葉が、オプティアリウスの口から語られたことでアリ…

kitaryuto775
2年前

老化の回廊

 オスティアリウスはアンドロイド特有ののっぺりとして特徴のない顔を全員に向けて宣言した。…

kitaryuto775
2年前

アンドロイドの遺伝子

「その扉をあけてやったら俺にも一杯飲ませてくれるか?」  緊急システムによってルナシティ…

kitaryuto775
2年前
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野獣復活

 オスティアリウスはジュノーに向けたアンテナを月上空に残すと、ゆっくりと第501坑に降りて…

kitaryuto775
2年前
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幽霊機械

「怖いだろ? 俺は肝っ玉が縮み上がる思いだったよ」  ブルースはグラスを掲げながらアリス…

kitaryuto775
2年前
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本当の偽物は本物か

 アリスのバーにふらりと訪れた男はマーレイだった。マーレイはルナ解放戦線のリーダーだ。かつてはNo.2として部隊を仕切っていたが、リーダーが死んだためにその座を手に入れた男だ。  ただ、腑抜けという噂だ。  その腑抜けは時々バーに一人でやって来る。下からの重圧から逃れるためかもしれない。 「いらっしゃい。ウィスキー?」  アリスが尋ねる。選択肢はほとんどない。ウィスキーはアリスが独自に造ったもので、味は本物のウィスキーには遠く及ばない。ただ、飲めなくはないし酔うことは

処刑の断面

 幽霊はアリスの背後に唐突に現れた。視線をそちらに走らせるが空間がわずかに歪んでいるだけ…

kitaryuto775
2年前

ハードファイヤード

「まずい」  アリゲーターはグラスを机に置くと爬虫類のような目でアリスを見据えた。  ア…

kitaryuto775
2年前
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ダブルネーム

 暗がりからすっと現れたのは女性型のアンドロイドで名はジュピターといった。長くしなやかな…

kitaryuto775
2年前
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ルナシティの夕暮れ

 ルナシティにアリスが到着して一年が経つが、夢郎の行方はようとして知れなかった。意識転送…

kitaryuto775
2年前
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青くてビターな雫たち

 青い光が頭の中を駆け巡っていて気分がすぐれない。アリスは目を瞑り膝を抱えて丸くなる。不…

kitaryuto775
2年前
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アンドロイドの深い穴

 急激な上昇の加速で体がシートに押しつけられる。横を向くとボギーがそれに耐えるため目を瞑…

kitaryuto775
2年前
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ラディカルな友達申請

 ピアノのしらべが消えてからというもの、客のいないバーは静まり返っていた。外では雨が静かに降り続いていて、一層静けさを強調している。夜になってしまえばそれも気にならないのだろうが、力のない光を残す時間では、僅かな水滴の音すら静けさの一部である。  アリスはグラスに手を伸ばした。きっちり1オンス注がれた『グレンフィディック』を喉に流し込むと、アルコールパラメーターが感覚を麻痺させていく。 「誰も来ないのがいけないわ」  アリスはアンドロイドでありながら電子ウィスキーに溺れ