日本の漂着プラスチックは年間3万トン - 北九州市民も海洋プラスチックと戦っています！

（画像：対馬、荒川クリーンエイド・フォーラム）

近年、五島列島や対馬、壱岐、藍島（あいのしま）などの島々と日本海側の海岸には海洋プラスチックなどの漂着ゴミが毎日、大量に打ち上げられています。環境省によれば、日本沿岸の漂着ゴミは年間3万トンから5万トン。地方自治体への補助金は年間約30億円に上ります。

地形的に漂着ゴミの防波堤ともなっている対馬では年間の漂着ゴミは約2万立方メートルと推測され、この半量程度が回収されているようです。漂着ゴミの処理費用は国からの補助金2億9千万円でも足りません。回収、分別後の運搬費用も必要です。対馬の場合、漂着ゴミの出どころは韓国（51%）、中国（28%）、日本（16%）、台湾（3%）（2016年：５年間集計）。なお、太平洋側の調査地点では漂着物の7-8割が日本国内からのゴミでした。

世界で海洋プラスチックが魚を上回る日も近い？

世界の海洋プラスチックの状況をみると、1億5,000万トンが海に漂っており、年間800万トン以上ものプラスチックが新たに海に流れ出ていると推定されます。発生源は１位（中国353万トン）から４位は東南アジアで日本は30位、6万トン(2015.Feb. Science)。ダボス会議（世界経済フォーラム2016）では現在の海洋プラスチックの82%はアジア諸国が発生源とされ、2050年には海洋プラスチックの重量が魚を上回るという予測も発表されています。

昨今、マイクロプラスチック（5㎜以下のプラスチック）の生態系や人体への影響が問題視されていますが、日本の周辺海域の海水に含まれるマイクロプラスチックは世界の27倍と言われます。日本ではマイクロプラスチックを使用した一次製品（洗顔料、歯磨き粉などのスクラブ）が規制されていません。個人でできることは限られますが、まずはこうした製品を買わないところから取り組めそうです。またフリースなどの化学繊維の洗濯カス（マイクロファイバー）は下水処理場をすり抜けてマイクロプラスチックとして海水に流れ込んでいます。高品質の洗濯ネットと洗濯バッグの利用は有効です。

*世界の海のプラスチック汚染（Figure 2. Model results for global count density in four size classes.）：日本は高濃度のマイクロプラスチックの海に囲まれています。

よいニュースは、日本は廃棄プラスチックの有効利用率が84％と優秀なこと（WWF）。なのですが、年間150万トンもの廃棄プラスチックを輸出しており、受け入れ側の中国やアジアの輸入規模は縮小傾向にあります。国内で循環する仕組み作り、ブレークスルーが待たれます。

Distribution of world plastic production（2013年1月調べ）によれば、日本のプラスチック生産量は世界第４位（5.5%）。（1位：アメリカ・カナダ・メキシコ（23%）、2位：中国（15%）、3位：ドイツ（7.5%））

海洋プラスチックは魚類や海鳥、アザラシなどの海洋哺乳動物やウミガメなどの約700種もの生物を傷つけ、死ぬ原因となっています。恐ろしいことに、ウミガメの52％、海鳥の90％が海洋プラスチックを摂取、食べてしまっていると推測されています。

ScienceAlert: Plastic waste found in a Cuvier's beaked whale in the Philippines. (Mary Gay Blatchley) 4.5メートルのクジラは40kgのプラスチックごみを餌と間違え飲み込み衰弱死（フィリピン・ミンダナオ島、2019年3月）。ここまで大量の海洋プラスチックが体内で見つかったクジラは過去にないという。

北九州市の藍島には白イルカのスナメリが定住しており、海洋プラスチックによるケガも深刻です。各地の自治体が漂着ゴミの回収に取り組んでいますが、島民以外の北九州市のボランティアグループもゴミ拾いに取り組んでいるそうです。また、関門海峡につながる岩屋海岸では北九州市民のボランティアグループ「われら海岸探偵団」の数十名の参加者が毎月、清掃を行い、美しい海を守ってくれています。

なかなかプラスチックフリーの生活は難しそうです。せめて漁業に使われる魚網だけでも、分解される物質に置き換わって欲しいものです。もう魚網に殺されるイルカやカメ、海鳥を見たくありません。

★「少プラスチック生活」のススメ：外出時にマイボトル、マイカップ、マイ箸、マイバッグを持参。スクラブ製品、化学繊維の服を買わない。歯ブラシを優しく使って長持ちさせる。石鹸は液体から固形に戻す。洗濯機で「洗濯ネット＋洗濯バッグ」を使う。

★コーヒーのマイカップ/タンブラー割引：20円（スターバックス、エクセルシオール・カフェ、セガフレード・ザネッティ、シアトルズベスト、ニューヨーカーズカフェ、ブレンズコーヒー、など）、30円（タリーズ）、50円（上島珈琲）、 10円（ローソンMACHI cafe）！

*注意：植物性のコーヒークリームは添加物入りの工業製品です。牛乳は使われていません。。