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茶箱の話

こんにちは!京都宇治でお茶の製造販売をしている、北岡園広報部です。
今日お話しする内容は、「茶箱」です。茶櫃(ちゃびつ)ともいいます。
とはいえ、百貨店などでたまに目にするような、ご家庭用の茶箱の話ではありません
http://interiorchabako.blog15.fc2.com/blog-entry-1039.html

※今回の記事を書くにあたり調べていたところ、リンク先のように「インテリア」として茶箱を作っている人たちがいることを初めて知りました。。。


年季の入った弊社の茶箱たち


さて、茶箱とは、茶葉の保管に使うものです。詳しくは下記のリンクにも書かれておりますが、茶葉の大敵である湿気を防ぐために、外側は木製で、内側には防虫対策としてトタンが貼られています。外側の木枠が、季節に合わせて適度に湿気を吸ったり、防いでくれたりします。また、他の会社が茶箱の代わりによく使うプラスチックの容器で発生する「静電気による付着」がありません。いにしえの人が生み出した知恵の結晶と言っていいかもしれません。

さて、その茶箱ですが、製茶業界ではめっきり目にすることが少なくなりました、、、原因は単純に「必要なくなったから」という事です。なぜ必要なくなったか?

茶箱にはだいたい50キロ~70の茶葉が入ります(お茶の種類や比重によって異なります。ちなみに茶箱自体は11kgあります)。

ただ、それは製茶に関わる古い機会に合わせた規格であり、現在多くの企業様が大きな機械でいっぺんに製茶をするようになって、この箱ではとても間に合わなくなりました。ちなみに、北岡園にある茶箱には2つの規格があり、片方は静岡で作られた製茶に関わるの機械に合わせた大きさの規格、もう一つは京都(山城)で作られた機械に合わせた規格です。ちなみに、茶箱の蓋は昔ながらの「スマートボウル」と同じ大きさのようです。

茶箱が廃れた理由はこれだけでなく、もう作る人がいない、という点もあると思います。当園ではまだまだバリバリの現役ですが、少なくとも園主(50代)や私(40代)よりは年上です。。。(推定年齢80年以上)

これがも壊れでもしたらどうしようという思いもあります。しかし、我々のような小さな会社一つでは箱を守ろうにも力不足であることは否めません。
なお、この箱を欲しがる人も結構おられます。ただ、今は申し訳ありませんが引き取りたいというお申し出はお断りしております。


重いので移動が大変なので、このように車輪をかませます



弊社では「コロ」と呼んでます。正式名称は不明ですが、、、


以前差し上げた方が、どうやら使った後ゴミに出したのですが、前に説明した通り内側にトタン板を貼っているということもあり、通常のごみと違って処理できない特殊ごみなのです(しかも京都府はごみ分類に関してとても厳しい)。しかし箱にはでかでかと「北岡園」と書かれており、、、結果当園に行政からお叱りの電話があったのです(理不尽)。


がっちり名前書かれてますからねー

茶箱はいずれ見ることができなくなると思いますが、その役割はとても大きいものがありました。ご家庭のインテリアとしてその歴史が少しでも受け継がれていくのであれば、これほどうれしいことはありません。


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