小数点以下の感情(0.999…)庚辰
わたしの頬を流れる彗星はあなたへ届くかな。
きみの心に棲むぼくは火を熾し灯りを点す。
安寧が透明な弾丸となって頭を貫いた。
向かいのドブから妙に人恋しい湯垢の匂い。
あのひとの首筋からは妖精の匂いがした。
悲劇めいたメロンソーダはしゅわしゅわと鳴いた。
ひとは街に染まり 街もまたひとに染まる。
マイルドになった反骨心が笑ってら。
赤がちらちらとゆれておちて わたしのこころに蓋をする。
しつこく集めて束ねたらできたよ カシオペア座。
冬のしずくは甘いとおもうんだ。
瞳のなかにある棘があなたを傷つける。
胎動は自我の芽生え。
苦痛や沈黙のなかで産まれた言葉はいつかは土に還るよ。
水膜のようなきみの虹彩はぼくのもの。
ぼくはたぶん一等星の分身だ だからからだは熱を放ちきみを融かす。
わたしはいつだってあなたの刃でいたい。
知性の塊は言葉なんだ。
ガラスケースに収まるよりも わたしの辺りを漂う言葉がいい。
爽快 どうとせいの狭間でゆれて 夜に 置いてって。
そんな、小数点以下の感情に埋れながら生きている、わたし。
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