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文系の blender 4.1 マテリアル | 陶器 磁器 土器
コーヒーカップのマテリアル作りにじっくり時間をかける機会はあまりないかもしれませんが、すこし手間をかけると比較的リアルなそれらしい雰囲気が出ます。
ここでは、焼きもののタイプ別に、器のマテリアルを整理してみました。
サンプルはすべて cycles でレンダリング。EEVEEでの設定もほぼ同様。
環境 Blender 4.1.0 , Mac Mini M1 OS 14.2
陶器
陶土、いわゆる粘土を用いた焼きもの。
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デフォルトのプリンシプルBSDFから、粗さを 0.1 となめらかめに設定したのみ。これだけの設定でほぼ焼きものに見える。
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釉薬の雰囲気を加えた。ベースカラーはノイズテクスチャで若干の不均一性を入れている。上部フチの色合いの変化の処理は文末に付記した。
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表面の粒状の釉薬を同じくノイズテクスチャで表現した。細かなノイズをかけるだけで比較的それらしい雰囲気になる。
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鏡面反射をすこし強くするため、コート(Coat)を若干加えている。
コート(Coat)は、塗膜など表面のコーティングを表現する。光沢の強い、ここでは釉薬の層にも利用できる。
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すこし微妙だが、貫入(特有の細かなヒビ)の雰囲気をボロノイテクスチャで表現してみた。ここでも、表面の光沢を強くするためコートを多めに適用し、ガラス感を出すため若干の伝播(Transmission)を適用している。
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ベースカラーはノイズと、上のボロノイを合成。
伝播は、ガラスなど透明素材の表現に用いられる。1.0など大きい値にするとガラスになるが、 0.1 など少ない値では、気持ち透明感を出せる。
磁器
ガラス質の石、長石、珪石を用いた焼きもの。一般的に薄くて硬いのが特長。
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コートを1.0とし、コートの粗さをゼロ、コートIORも 1.6 と大きめに設定し、光沢感を最大限に表現してみた。
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IORは物質の光の屈折率を表す数値で、高いほど光の反射率も高くなる。なお、コートは表面を覆うマテリアル設定なので、ウェイトを 1.0とし影響を最大とした場合は、メインの「粗さ」や「IOR」設定値の影響が少なくなる。
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青磁。上の貫入のテクスチャに加え、透明感を表現するためサブサーフェス(Subsurface)と伝播(Transmission)を用い、表面の光沢にはコート(Coat)を多めに適用している。
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サブサーフェスは、ひとの肌などの有機的物質内部での光の散乱を表現する機能。「サブサーフェス半径」の値は上からRGBカラーを表し、ここでは青色を帯びた発光を表現している。
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プロシージャルな蕎麦猪口。設定は上の陶器のままだが、伊万里、有田焼などは磁器。
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異なるテクスチャを接続することで、単独のテクスチャとは異なるやや複雑なパターンを生成できる。(少なくともわたしには)偶然に頼るしかなく、思うようなパターンを出せないのが難点。
土器
陶器と同じく粘土を、比較的低温で焼いたもの。植木鉢の多くは土器。
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バンプは物質表面の凹凸を擬似的に表現する機能。モデリングによる面の細分化がなくても、細かな起伏を表現することができる。
土器風の酒器。ボロノイテクスチャをディスプレイスメントに適用し、ヘラの模様を表現した。
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ディスプレイスメントは、バンプと同様、表面の凹凸を擬似的に表現する機能。バンプよりも比較的大きめの変化を表現しやすい。
縁ラインの作成
グラーデーションのように、はっきりしないラインを作るには、波テクスチャを利用している。
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波テクスチャの歪みなどの値を変更すると、よりノイズのあるラインを作成できる。
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ベースカラーの変化だけではなく、異なるマテリアルを適用したい場合は、下のようにシェーダーミックスの係数に利用する
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この場合、Aノードの黒色のエリアがオレンジの金属マテリアル、白色のエリアが白の陶器マテリアルに振り分けられる。
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参考
レヴィ・ストロースという文化人類学者の「やきもち焼きの土器つくり」という本があります。おもしろいタイトルとカバーにつられて買ったことがありますが、内容は難解で、ほぼおぼえていません。みすず書房
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