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blender 4.2 EEVEE NEXT ライティング基本設定

blender 4.2 から、EEVEE レンダリングエンジンに、2.0 あるいは NEXT と呼ばれる大きなアップデートがありました。

ごく一部ではありますが、EEVEE NEXT での基本的なライティング設定についてまとめています。

blender 4.0 4.1 EEVEE の設定については、下記事にまとめています。シーンはそのときのものと同じ。


環境 Blender 4.2.0 LTS, Mac Mini M1 OS 14.4



テストシーン


床といくつかの小物を配置したシンプルなシーンを用意した。照明は、左からのエリアライト、および、HDRI による背景光のみ。

エリアライトは、サイズ 0.1 m パワー 40W。影を明確にするため、通常よりサイズを小さくしている。

背景光はおもに金属マテリアルの映り込みの確認なので、強さは、0.1 とごく低くした。

背景(環境)光に使用した HDRI は、
PolyHaven から入手した brown_photostudio_02_4k.hdr


cycles


比較のため、まず、cycles のデフォルト設定でレンダリングを行った。

 1024 samples 


EEVEE


そのまま、EEVEE に切り替えてレンダリング。

デフォルトでは、間接光(床などにあたって跳ね返った光が別のオブジェクトを照らすこと)が反映されず、そのため、全体がすこし暗い。

Shadow

エリアライトによる影の生成の精度がいまひとつなので、調整を行った。

左 デフォルト 右 フィルター 3.0 解像度を制限 0.002 m
エリアライトのデータプロパティ 影設定が 4.1 以前とは異なる。


Ray Tracing

EEVEE NEXT のアップデートの要ともいえる「レイトレーシング」をチェックする。

解像度は 1.1 (もっとも解像度が高い)他はデフォルト。
おもに床からの間接光が反映され、「物理的に正しく」明るくなる。

レイトレーシングとは
レイトレーシングとは、光源から発せられる光の経路を辿り(トレースし)、描画するレンダリング方式。cycles で採用され、フォトリアルなレンダリングを可能としているが、計算が膨大なため時間がかかるのが難点。EEVEE では一部機能を省略しながら、リアルタイムに近いレイトレーシングを実現している。

すこし暗いので、背景光の強さを 0.3 と上げてみた。

レンダリング時間 2.4 秒
cycles による比較レンダリング。レンダリング時間 14秒。

右のミラーボールの映り込みがまだ cycles よりは正確ではなく、また、中央左の金属のフタ部分の映り込みがすこし暗い。
その他は、ほぼ cycles のレンダリングと大きな差はないことが確認できる。

少なくともこのシーンでは画質的に大きく向上しているという印象は薄いが、これまで、スクリーンスペース反射(4.2では削除された)機能のベイクによって行っていた間接光(GI Global Illumination)の処理が、レイトレーシング機能によってリアルタイムに処理できるのは大きなメリットだろう。


EEVEE 新機能

HDRI

4.2 から、HDRI 背景光による影が生成される。

ワールドプロパティ 設定 > 影にチェック。

太陽 > 角度 は 8 に変更。通常のサンライト同様、角度は高いほど影がやわらかになる。機能の一部をサンライトで代用しているものと思われる。

Emission

4.1 以前では、ブルームによる擬似的な発光に制限されていた発光(Emission)マテリアルが、cycles と同様、照明として機能する。

プリンシプル BSDF  放射 強さ 10


まとめ


設定値の詳細については踏み込んだ紹介はできていませんが、デフォルトの他、いくつかの設定を変更するだけで、従来よりもフォトリアル的なレンダリングが可能になっていると思います。

やはり、ほぼリアルタイムにレンダリングができるのは魅力的ですし、より理解を深めることにより、EEVEE独特の、さらにおもしろいレンダリングの可能性もありそうです。参考まで。


このまま EEVEE の性能が上がり、リアルタイムにフルレイトレーシングが実現するのか、あるいは、cycles の性能向上により、ほとんどリアルタイムレイトレーシングが実現するのか、あるいはまた、統合されて CYCLEE とかになるのか、わたしには予想がつきません。


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