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文系の blender 4.0 マテリアル | メタル

金属系のマテリアルについて、プリンシプルBSDFのプロパティや、よりリアリティを加える表面の加工について整理してみました。

サンプルはすべて cycles でのレンダリング。EEVEEについては、設定が大きく異なる場合のみ付記した。


環境 Blender 4.0.2 , Mac Mini M1 OS 14.2



基本


デフォルトのプリンシプルBSDFの、メタリックを、1.0 とし、ベースカラーを白寄りのグレイ(hex CCCCCC) とした。

やや平板でチープな印象は否めないが、じゅうぶん金属にみえることには変わりない。

無機物は、ほぼ金属または非金属に分かれるため、メタリックの値は、通常、0 あるいは 1 とする。


粗さ(Roughness)


上のサンプルで、どうしてもCG感が拭えないのは、表面があまりに均質的であるためだ。

ここでは、基本のマテリアルに加え、プリンシプルBSDFの 「粗さ」 にノイズテクスチャを接続し、表面のなめらかさにシンプルな不均一性を加えてみた。わずかではあるがリアリティが増している。

テクスチャの黒寄りがなめらか、白寄りが粗めに表現される。
ここではIORをやや調整しているが、金属の場合、その特性から、非金属に比べ反射率が非常に高いため、IORの値による反射率の変化は少ない。



ノーマル(Normal Map)


基本のマテリアルにベースカラー(#DAB6AA)を変更し、プリンシプルBSDFの「ノーマル」に、ボロノイテクスチャ - ノーマルマップを接続した。

銅やアルミ製品によくみられる槌目(つちめ)のような表情になる。

ノーマルマップは、オブジェクトの表面の起伏を擬似的に表現する機能。ここでは、起伏を示すデータにボロノイテクスチャを用いている。


ノーマル(Bump)


基本のマテリアルにベースカラー(#797979)を変更し、プリンシプルBSDFの「ノーマル」に、ノイズテクスチャ - バンプ を接続した。

滑り止め加工された鉄製品や、南部鉄器などの独特な荒い表面を表現できる。

本格的な中華鍋や南部鉄器が黒く見えるのは、おもに黒サビという防錆の手法が用いられているためとのこと。

赤サビと黒サビ

バンプは、ノーマルマップ同様、オブジェクトの表面の起伏を擬似的に表現するが、ノーマルマップよりも、細かな起伏を表現しやすい。起伏を示すデータは、ノイズテクスチャを用いた。


コート(Coat)


文字通り、塗膜などでコーティングされた表面を表現する。ワックスを塗布した表面や、車の塗装などのマテリアルによく用いられる。

プリンシプルBSDFの、コート の ウェイトを 1.0 とし、ベースカラー(#B1BCE2)および、チント のカラー(#FFEECA)を変更した。


同様に、ベースカラー(#B7B1B5)を変更し、チントカラーにマスグレイブテクスチャを設定してみた。

ベースカラーに設定した場合との差は微妙ではあるが、釉薬のかかった陶器のような高級感を演出できそうだ。

カラーランプは、左上 + ボタンで、カラースライダーを追加できる

多くの金属製製品は、表面に塗料やサビ止め用などの被膜で覆われているため、リアリティを追求するならば、頻繁にコートを用いるべきなのかもしれない。


異方性(Anisotropic)


異方性は、CDなど、細かな溝のある表面に現れる反射を表現する。鍋やフライパンに見られるのは、製造時の旋盤加工による影響とのこと。

プリンシプルBSDF、スペキュラー > 異方性 を 1.0 とする。

異方性はオブジェクトのローカルZ軸を基点とするので、ライトの当て方にもよるが、異方性が思ったように現れない場合は、上のフライパンのように、平らな面に置かれた状態で、オブジェクト > 適用 > 回転 でオブジェクトの回転軸をリセットする。

また、放射線状の中心はオブジェクトの中心からで、上のフライパンであれば、柄は別のオブジェクトとしたほうがよい。

EEVEE

EEVEEでは、異方性は機能しない。


HDRI


マテリアルではないが、特性上、金属の表面には周囲がよく映り込むため、HDRIを設定した背景(環境)光の利用も効果的だ。

基本のマテリアルの粗さを 0.1 とし、背景に、HDRI画像を設定した。表面にHDRIの室内画像が映り込み、リアリティが増している。

強調のため、背景の強さを 0.6 としたが、0.1程度でも映り込みは発生する。また、マッピングノードを接続することにより、背景の移動や回転も可能だ。HDRI画像「brown_photostudio_02」は、PolyHaven から入手した。




金属をフォトリアルにみせるためには、やはり、粗さやノーマルといった表面への加工が重要な要素となる。

上の要素を組み合わせることで、上のサンプルよりも一層リアルなマテリアルを作成することができるだろう。


参考


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