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地の物を食べてもらう

秋になると毎年思い出す。
これは、徳島県西部の山深く、祖谷地方を題材にした写真集「曙光(しょこう)」宮脇慎太郎 の、出版を記念したトークイベントでお料理を出してと頼まれた時に作った「そうぼん」という、祖谷の食文化を映し出したお食事。一対のお盆で双盆なのか、家を建てる時の建前や婚礼などの儀式で使う大きな大きなお盆を惣盆と言うので、そこから来ているのだろうか。その名の由来は定かじゃないけど、いずれにしてもお目出たい席のお料理である。傾斜地の野菜と手作りの丸い大きなこんにゃくを煮しめたものや、かまぼこ、果物などを盛りつけて来客をもてなすもの、ということだけは記録に残っていて、この日はそれこそ出版の御祝だったこともあって、それを再現してみたのだった。

そして、写真にも椀が映っているのだけど、祖谷の方言でいう、ふれまいそば(振舞いそば)と丸ごと1個の茹で卵を入れた半田素麺汁。そば米でもよかったけど、この日はお慶びで、来て頂いた皆さんにふれまい(振舞い)をするということで、祖谷そばを作らせてもらった。
うつわは、東祖谷で食堂をやっていた「なこち」と、会場だった阿波池田本町通りの「きせる」という二つの古民家に眠っていたお膳を貸してくれて、近所のお母さんが、紅葉しかけた柿の葉や南天の葉をお裾分けしてくれて、このお料理は完成したのでした。
お膳には半田素麺汁や祖谷そばを作って、重ねて置いておいた(写真左端の方)それを食べたいだけ食べて、満腹になるまで、お膳が空っぽになるまで宴は続いたのでした。

こういうこと、またやりたいね。地の物バイキング、いいじゃないですか。



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