見出し画像

愚者のエンドロール 感想

『氷菓』に続き、続編の『愚者のエンドロール』も読了。
(前作の感想は コチラ )

ストーリー

省エネをモットーとする折木奉太郎は、所属している古典部のメンバーとともに、上級生の入須冬実から文化祭のクラス展示の映画の試写会に誘われる。しかしその映画は脚本家が途中で投げ出した、結末不明、未完成のミステリー。
入須冬実は映画の完成のため、探偵役として古典部を呼んだのだった。
奉太郎は気が進まないものの、古典部部長の千反田えるの好奇心と、入須のカリスマ性により、結局は推理に協力することになる。

感想

面白いとは思うが、個人的には前作、『氷菓』の方が好きだった。

『氷菓』が古典部の文集をめぐりつつも様々な謎解きをしていくテンポのいい作品であったのに対し、この作品は一貫してクラス展示のミステリー映画に関わる内容で、本格的な推理小説に近くなっている。僕のようなエンジョイ勢には『氷菓』ぐらいの簡単な謎解きがたくさんあった方がよかった。

ただ、クラスの関係者に推理を聞いて、その説を否定しながらヒントを得て謎解きを進めていくという物語の構成は自分の中では新しく、その構成には惹かれた。その意味もちゃんとあるのも良い。

個人的イマイチポイントは2つあって、1つ目が"シャーロック・ホームズの作品に関する知識が謎解きに必要なところ"
作者からの推理小説読むならホームズくらい読んでおけというメッセージなのかもしれないが、エンジョイ勢の俺にはちょっと難しかった。
イマイチポイント2つ目は"奉太郎に感情移入するとモヤモヤが残る点"
作品が一部を除き奉太郎の一人称視点なのも相まって、読後に謎は解けてもカタルシスがそんなになかった。まぁこれは続編があるから仕方ないのだけれど、入須先輩に上手く使われた感じは読者としてもあまりいい気はしないのではなかろうか。ってかそれが俺がこの作品を氷菓よりイマイチと評した最大の原因なのかもしれない……

まぁ続きが気になるので、次は『クドリャフカの順番』読みます。

この記事が参加している募集

#読書感想文

188,357件

サポートしていただいたら更新頻度が上がるかもしれない…… 素直に率直にありがとうございます。 日々精進します。ちゃんとほんとかも読みます。