椎間板ヘルニア備忘録 *知識編

*仕事場である研究室に病状の報告のメールをする中で「他の人にも助けになる知識」と、思ったお返事をいただいた。熊谷先生の許可をいただいた上でこちらで公開させていただく。

5/21 ことこ→研究室
・薬=リリカ125mg を朝と夕 ロキソニン、チザニジン、胃薬を3食後
・食事 立って、一口食べて布団に倒れ込み、また一口食べて、を繰り返しています
・薬の効く時間もあり、なんとかお風呂に入ったりできました 痛いのですが、湯船の中はとっても楽です。
・足の痛みで、朝4時ごろ目が覚めます
・深夜に目が覚めることはなくなりました
・立って、痛みはあるけど、立てているな、と感じる時は、その場で何歩か歩いてみたり、練習しています
・薬が強いからか、朝と昼に、昏睡するように寝ます

ほんの少しずつですが、良くなっているように思います。ですが、この痛みが本当になくなるのか?歩けるようになるのか?が想像できなくて、日々、不安があります。

*メールから一部、抜粋


5/21 熊谷先生→ことこ
「いつになったら治るのだろう」「本当に治るんだろうか」というぐるぐるに入るのは辛いですよね。私の当事者研究のメインテーマも痛みなので、よく理解できます。

以下は、腰椎椎間板ヘルニアのガイドラインのポイントをまとめたものなので、参考になさってください。

1.安静にして、薬を飲んで、2週間しても痛みが改善しなかったら、再受診しましょう。
2.半分の患者さんは、安静と薬で痛みが消えますが、消える場合には、数週間から数か月で消えます。
3.手術をするとしたら、3か月以内の方が効果が高く、90%治ります。

2と3を踏まえると、2か月たっても復帰が困難なほど痛みが続く場合には、手術をする方が良いと考えられます。
また、リリカの量は、まだ1日300㎎に到達していないので、「効果なし」とは言えませんが、次の1週間で痛みの改善が今一つなら、再受診した方が良いでしょう。

※参考にしたのは、学会が出しているガイドラインを公開しているMindsというページ(https://minds.jcqhc.or.jp/)に掲載されていた、2008年に出た患者さん向けの腰椎椎間板ヘルニアのガイドライン(https://minds.jcqhc.or.jp/n/pub/1/pub0017/G000047)です。
 その第4章に、治療法が書かれています。
https://minds.jcqhc.or.jp/docs/minds/LDH/04_ch4_LDH_GB.pdf

あともう一つ、実は治っているのに痛みが続く、「慢性疼痛」と呼ばれる状態にならないために、体に注意を向けるだけでなく、思考パターンにも注意を向けてみて下さい。痛みに対して、「自分は何もすることはできない」「嬲られるがままだ」と思いこんでしまう思考パターンを、「痛みの破局化思考」と呼び、痛みを長引かせる思考パターンだということがよく知られています。私も3か月くらい、破局化思考に陥ってどんどん悪くなった経験があります。

下記の左半分のアンケートの合計点が30点以上だと、破局化思考の傾向があるといわれます。

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破局化傾向から抜け出すには、痛みの改善を中心目標に置く「痛み随伴サポート」(pain-contingent support)ではなく、痛みがありながらでも復帰するにはどうしたらよいかを考える「社会的サポート」(general social support)を意識すると良いでしょう。

痛みを、「復帰の足を引っ張る邪魔モノ」とみなすのではなく、「身体の使い方、生活パターン、仕事のスタイルを見直しましょう」という、大切な自分助けのメッセージを伝えてくれているものと捉えなおすのも、破局化から抜け出すコツです。

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痛みがなかった過去に戻ろうとする気持ちを手放したときに、痛みが緩和する、というのも、多くの痛み当事者が経験していることで、依存症との共通点でもあります。

参考になれば幸いです。

*メールより一部、抜粋



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