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のらねこ日記 ②

さすらいの旅人  みー太郎

  小2になって、わが家は近くの木造アパートの2階に引っ越しました。正面にちょっとしたお庭があり、裏は木々が鬱蒼とした斜面がそびえた古いアパートでした。(友達は妖怪アパートと呼んでいました)
   わが家は、貧乏だったので、このアパートには、結構長く住みました。
   ある日、アパートの前の私道に、見慣れぬ
茶トラがいました。尻尾の長いお兄ちゃんで、私がちょいちょいと、手まねきするとちょっと近づいて来ました。こちらから近づくと、逃げてしまいそうだったので、距離を取りつつ、ちょっとずつ手まねきで  アパートの階段下まで茶トラを招き入れることに成功。
  でも、階段を上がっては来なかったので、あきらめて帰宅しましたが、気になって、ドアを開けてみると…
いました!茶トラくん
せっかく来てくれたので、煮干しをごちそうしました。
   それから、茶トラくんは、毎日来るようになり、母が『みー太郎』と名づけ、わが家の外猫となりました。
  キレイ好きの父は、動物を室内に入れることをいやがりましたが、母と私でみー太郎を
玄関前→玄関内→室内と少しずつ慣らして、最終的には、座敷の座布団の上でくつろぐまでに慣らしました。
   そして、みー太郎は、わが家で半日過ごしては外に戻って行く生活を一年ほど続けたある日、ふっといなくなってしまいました。
いなくなる少し前から、何やらそわそわ落ち着かない様子だったので、きっと旅立ちの季節だったのでしょう。

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