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のらねこ旅日記≪金沢のあんころ≫

  再び、中学同期4人組の旅話です。
友人Yの田舎が金沢で、伯母さまのお宅に泊めてもらえることになりました。
娘さんがお嫁に行き、お部屋が空いてるからどうぞ使ってください、と言ってくださいました。
  当時、北陸地方はちょっと行くには不便で、私たちは小松空港経由で飛行機を利用しました。
飛行時間は1時間弱で小松空港に着き、そこからバスで40分くらいで金沢市内に入りました。
  さっそく行った兼六園ではお茶屋さんでいただいたあんころ餅がとても美味しくて、特にCがいたく気に入ったようで、ことあるごとに「あの時のあんころは美味しかった」といまだに言います。
さすが加賀百万石の城下町なのでしょう、和菓子が豊富で、当時あんこが苦手だった私ですら、Yの伯母さま宅でいただいた『近所の和菓子屋さんの葛まんじゅう』が『すみません、もう1個いただいてもいいですか』レベルで美味しかったのです。
  夕御飯は伯母さまが近くの和食屋さんに連れていってくれました。
そこは、和食のファミレスみたいなカジュアルな雰囲気でしたが、加賀料理がきれいに盛り付けられた御膳は、見た目も味も大満足でした。
特に胡麻豆腐が美味しくて、これもCの思い出の味となりました。
  帰り道、川の土手から打ち上げ花火が観れて、ラッキーでした。
  観光は、定期観光バスの市内半日コースを利用し、茶屋街や忍者寺(妙立寺)を廻りました。
バスガイドさんが若い男性で、女性客に大人気でした。
  「金沢はフレンチも美味しいらしい」と誰かが言ったので、お昼にフランス料理屋さんのランチに行きました。
お酒が好きなKとYのために、ワインのハーフボトルをたのみ、飲めないCと私も少しだけご相伴にあずかりました。
  食事を終えて外に出ると、大きな商店街でお祭りをやっていました。
するといつの間にかKとYの姿が見えなくなりました。
辺りを探すと、2人は鏡開きの振る舞い酒をいただいていました。
『ハーフボトルじゃ足りなかったか』と思いました。
一方、Cと私は冷やかしで入ったジュエリーショップで店員さんに
「日焼けしてますね。海水浴に行ってらしたんですか?」と言われました。
『いえいえ、顔が赤いのはただの酔っぱらいだからです』と思いながら、
私は「そうです、暑くなったので」と笑顔で答えました。
  金沢滞在中、ずっと
「あんころ、また食べたい!」と言っていたCに伯母さまが
「空港で売っているみたいよ」と教えてくれました。
  帰路、搭乗時刻まであまり時間がない中、Cはあんころを求めて売店を探し回りましたが、売り切れていたのか、あんころを見つけることはできませんでした。
こうして兼六園のあんころ餅は幻の味としてC の記憶に刻み込まれたのでした。


  
  
  


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