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のらねこ旅日記≪東武伊勢崎線≫

  十数年前、当時お気に入りのバンドさんがある大学の学園祭でライブをするとのことで、チケットを取りました。
  その大学は、私が知ってる大学と名前が1文字違いの、全く知らない大学で、
所在地は群馬県でした。
群馬県も高崎など新幹線使ってライブに行ったことはありましたが、今回は在来線を乗り継いで行く未知の土地でした。
 最寄駅から大学までは徒歩5分だったので『まぁ、これなら迷うことなく行けるでしょ』と思っていました。
  当日、日比谷線で北千住駅に行き、東武伊勢崎線の特急に乗り換える予定でした。
ところが、私は北千住駅で自分が乗る電車のホームを見つけられませんでした。
階段の下にあるホームの表示は、1本後の便の時刻で
『あれ?検索し間違えてのかな』と不安になりました。
もう一度階段を上り、通路に戻って、辺りを見回すと、少し先に上にあがる階段があることに気がつきました。
まさか通路の上下にホームがあるとは思っていなかった私は、慌てて階段を上りましたが、目の前で乗りたかった電車は出発してしまいました。
私は急いで下のホームに待機していた次の電車に乗りましたが、車内で検索すると、目的の駅に行く各駅停車に乗り換えるのに、30分の待たなければならないことがわかりました。
大学の最寄駅で止まる各駅停車は、その時間帯では1時間に2便だったのです。
『乗り換えてたった1駅(5分)なのに30分待ちかぁ』と、残念な気持ちになりましたが、到着した乗り換え駅は、改札内に本屋さんやカフェがあったので、時間潰しには苦労しませんでした。
  各駅停車に乗り換えて着いた最寄駅は、土手の上にホームがある小さな駅で、一応交通系ICカードに対応はしていましたが、残高不足のお客さんが多くて、年配の駅員さんが2人、手作業で応対していました。
券売機も1台しかなく、帰りの切符を買ったり、ICカードにチャージするお客さんの列ができていました。
どうも、今日のために駅員さんを増員したようで
『普段は、こんなに人が来ないのかな』と思いました。
  線路沿いを歩いて5分、たどり着いた大学は、広い土地に2、3階建ての校舎が並ぶこぢんまりとした大学で、横には同じくらい広い駐車場がありました。
『あぁ、車でないと不便よね』と納得しました。
  ライブ会場は体育館で、開演前に整理番号順にならんだ人数は、ここの学生さんより多いんじゃないかと思いました。
実際、このバンドさんをよく知らない学生さんがこの行列を見て驚いていました。
  会場に入ると、そこはフツーに体育館のまんまで、ステージの横の壁には丸いアナログ時計がついていました。
いつものライブハウスとは違う雰囲気でしたが、ライブ自体は楽しめました。
でも時計が見えるので、ついつい帰りの電車の時刻が気になってしまいました。
なので、私はライブが終わるとさっさと荷物を持って大学を後にしました。
線路沿いの道を歩いて駅の近くまで来ると、上の方から
「終わりましたか~?」と声がしました。
見上げると土手の上のホームの端に駅員さんが立っていて、どうも私に話しかけているようでした。
「ライブは終わりましたよ~!」
「私が一番に出てきたので、これから人が来ま~す」と返すと、駅員さんは
「終わったってよ~!」ともう1人の駅員さんを呼びに戻りました。
『なんか、すごーくのどかだな』と思いました。
  早く出たおかげで、駅も大して混まず、10分待ちで電車に乗れましたが、
ライブでの汗をろくに拭かずにいたので、乗り換え駅のホームで秋風に吹かれていたら、体が冷えてしまいました。
歯がガチガチする震えがきてたので、自販機でHOTの缶コーヒーを2本買って1本飲んで、もう1本をカイロ代わりに握りしめました。
  台風でびしょ濡れになって以来、人生2度目の歯ガチガチ体験でした。







  
  




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