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のらねこ旅日記≪与論島≫

  与論島は沖縄に近いけれど、実は鹿児島です。
旅行社のパンフレットで見た時も、飛行機が沖縄乗り換えだったので、最初は沖縄だと思っていました。
『まぁ、沖縄のようなもんだよね』と、その年の夏休みの行き先に決定しました。
  まず、初めての体験ダイビングに挑戦しましたが、バランス感覚の悪い私は、タンクを背負う前にボートから落ちてしまいました。
「じゃあこのまま海の中でタンク装着しましょう」と、海面に浮かんだブイにつかまった状態で、インストラクターさんに装備を着けてもらった私は、一番最初に沈められました。
  ブイのロープづたいに潜水させられ、海底に着くと近くの岩につかまるように指示されました。
  こうやって、1人づつ潜水させて、参加者5人とインストラクター2人が海中でそろうと、インストラクターさん2人がお客さん4人の手を引いて海中散歩を始めました。
  友人Aはライセンス持ちなので、1人で悠々と泳いでいました。
  水深6mの世界は青白く
「光が通ってキレイなのは、6mぐらいで、それ以上深いと暗くなるよ」
「だから、私は素潜りで十分」とAが言っていたことを思い出しました。
  基本インストラクターさんに手を引かれて移動、たまに岩につかまらされて待機でしたが、何故か岩につかまっている時の方が安定感があって落ち着きました。根魚の気分でした。
  ダイビング終了後、ボートに上がったとたん、船酔いが炸裂した私は、また海に向かって撒き餌してしまいました。
  この時Aはまだ海中で
『なんかお魚が海面に向かって集まっている、まさかやったか?』と思ったそうです。
  
  与論島には百合ヶ浜という、干潮の時だけ沖に現れる白い砂浜があります。
  そこでは、真っ白砂浜の上に1隻の船が乗っかっていて売店を営業していました。
満潮の時にやって来て停泊し、潮が引いて砂の上に乗っかった状態になり、潮が満ち砂浜がなくなると営業終了で帰っていくそうです。
  ここで半日遊んでそろそろ渡し船の最終便の時間が近くなった頃、水上バイクで営業していたお兄さんに声をかけられました。
「最後に乗って行かない?もし、最終便に間に合わなかったら、水上バイクで送っていくから」
  その水上バイクは後ろに2人乗せられる仕様になっていて
「ま、いいか、まだ時間があるし」と乗ることにしました。
  ここが最後まで沈まないからと、お兄さんが教えてくれた場所に荷物を置いて、私たちは水上バイクを楽しみました。
  終わって砂浜に戻ると満ち潮でだいぶ面積が狭くなっていましたが、私たちの荷物の場所は無事でした。
  渡し船の最終便ギリギリだったので、私たちは荷物とレンタルのビーチパラソルを担いで船に飛び乗り百合ヶ浜を後にしました。
  振り返ると、まだ売店の船だけがポツンと残っていました。
  
  ホテルの観光ガイドに、島は平らでサイクリングに最適、と書いてあったので、翌日はホテルでレンタサイクルして島内観光に出かけました。
  ところが、途中結構な登坂もあり、暑さでヘロヘロになりながらのサイクリングになりました。
  そして、いい加減いやになった頃、私たちは島の反対側まで来てしまっていました。
  行くも帰るも同じ距離、ならばこのまま進もうとしましたが、やっぱり足が疲労していたのでしょう。
  舗装のされていない砂利道で私は、何故か自転車を押している時に転んでしまいました。
  手のひらをすりむいてしまい、近く浜におりて海水で傷を洗いました。
当然のことながら、しみました…
  この後、墓地に迷い込み、お墓の形が沖縄と違ったので、あらためて『ここは沖縄じゃないのね』と思いました。
   農作業をしていたおばあさんに道を尋ねた時には、黒砂糖の豆菓子をいただきました。
  商店がある集落に着いた頃には、だいぶ日が傾いていて、お店で一休みしていた私たちは、自転車にライトが付いていないことに気がつきました。
  確かホテルまでは、田んぼの中の一本道で街灯がなかったことを思い出し、
「ヤバイ!日没までに帰らないと、田んぼにはまっしまう!」と、焦った私とA は、夕日に向かって爆走しました。
  なんとか、日没前にホテルにたどり着くと、ちょうど業者さんがトラックに自転車を積んで回収しているところでした。
  ホテルのロビーでスタッフさんから
「今日はどちらに行かれたんですか?」と声をかけられました。
「自転車で島を1周しました」と答えると、スタッフさんはちょっと驚いた顔で「普通はしませんよ」と言いました。
『いや、ホテルのガイドに書いてあったから!』と言いたかったのですが、疲労困憊していたので、「ハハハ…」と力なく笑って部屋に戻りました。
  海にいる時よりも腕が焼けてしまい、
皮がむけました。
  結局、サイクリング後半はただひたすらぶっ飛ばしていたので、ヨロン焼きの窯元などの観光スポットには立ち寄りませんでした。
  なので最終日にレンタカーであらためて島内観光をしました。
  若気の至りの思い出です。

  


  



  


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