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のらねこ旅日記≪私をスキーに連れてって≫

  バブルのころ、↑こんな映画がありました。
世間の流行に乗っかったわけでもないのですが、この頃に私もスキーを始めました。
   今回はまず登場人物紹介から
友人C  子供のころから滑っている
             スキ ー上級者
友人K  社会人から始めた中級者
友人Y  初めてのスキー
私  大学1年の体育の授業以来2回目
  この中学同窓4人組で苗場スキー場へ
行きました。
   苗場といっても苗場プリンスホテルはお高いので、近くの苗場温泉旅館街に宿をとり、スキー場まではバス送迎でした。
  夜行ツアーバスで早朝に宿に着いて、休憩+朝食をとって、身支度すませて、いざ出発という時に、アクシデントが起きました。
  宿の玄関を出で送迎バスに乗り込もうとした時、
ザザァー!!!と音がして私の目の前が雪煙で真っ白になりました。
  玄関の屋根に積もった大量の雪が落ちたのです。
  そして私の前を歩いていたKが道路に倒れていました。
雪の直撃をくらったようですが、さらさらの新雪だったので雪に埋もれるようなことにはなっていませんでした。
「大丈夫?」と、半笑いで声をかけたCの顔が途中でこわばりました。
  起き上がったKのあごからボタボタと血がたれていたのです!
  倒れた時に肩に担いでいたスキーのエッジであごの下を切ってしまったのでした。
  血を見ると冷静になる看護師のCは
「Kちゃんを診療所へ連れているから、あなたたちは、先にスキー場へ行って、スキースクールに入って!」と言いました。
  言いつけ通り、Yと私はスクールの初心者コースに入り、2人が戻ってくるのを待ちました。
  レッスンが終わるころ、傷の治療を終えたKとCがゲレンデに現れました。
  幸いKの傷は、縫わずにテープ固定で済みました。
その後は4人で滑りましたが、今度はスクールで1人落ちこぼれたYがもう帰りたいと言い出しました。
  それでもCの熱血指導でYは一応滑れるようになりました。
但し、曲がることが出来ませんでした。
  彼女はゲレンデを斜めに真っ直ぐ滑って、端まで行くとパタッと倒れて、スキーの方向を変えて立ち上がり、また真っ直ぐ滑るという技を会得しました。おまけにそのスピードはどんどん早くなっていきました。
  そして、とうとうスゴいスピードで進入禁止のロープが張ってある場所に突っ込んで行ったのです。
「ころべー!」とCが叫びました。
その声に反応したのかYはロープ手前で転びましたが、そのままロープの下をくぐってしまい、姿が見えなくなりました。
  斜面をまわりこんで見上げると、進入禁止の斜面の上の方の灌木にYが引っ掛かっていました。頭を下にしてスキーを木に引っ掛かけた状態で止まっていて、上級者のCが助けに行きました。
  しかし、こんな怖い目にあっても、Yの暴走は止まりませんでした。
なまじバランス感覚がよかったため、
スピードが制御できなくても転ばないので追いかけるのが大変でした。

  その後もこのメンバーでよくスキーに行きましたが、そのうちKとYは結婚し子供もできたので、私とC の2人で行くようになりました。
  次は赤倉温泉スキー場に行った時のお話です。
  夜行列車のツアーに参加したのですが、ほとんど眠ることができなかった私たちは、初日のスキーを早めに切り上げて、夜の9時には就寝しました。
  翌日は目覚めバッチリ、体調も上々で、私たちは宿からスキー場へでかけました。
  宿からスキー場への連絡道は多分夏は畑か田んぼのあぜ道といった細い道で、見事に凍っていました。
途中下り坂があり、ここでスキー板をはいて一気に滑ってその先のリフトとを目指そうと、Cは坂の上で板をはき始めました。
  一方、私はそんな技術もないので、板を担いで先に歩いて行きました。
  『よく寝たからカラダも軽いな』と
調子よく歩いていた私でしたが、
次の瞬間、おもいっきり足を滑らせました!
  事故の時、回りがスローモーションに見えるとよく聞きますが、この時の私はまさに、それでした。
  自分の両足が目の前に見えました。
そして、苗場でKがあごを切ったことを思い出しました。
『このまま転倒したら、私もエッジであごを切ってしまうかもしれない』
『Cはまだ坂の上にいて、私の回りには誰もいないハズ』
『スキー板はレンタルだし、いいや、投げちゃえ!』と
私は担いでいたスキー板とストックを後ろに放り投げ、お尻から落下しました。
  坂の上からこの様子を見ていたC は
「スキーを放り出して、両手両足バンザイ状態で転倒した姿は、まるで地雷を踏んでふっとんだようだった」と言いました。
  ピンポイントで尾てい骨を強打した私は、しばらく起き上がることができず、アイスバーンの上に転がっていました。
  すると他のスキー客が来たので路肩によけて
「転んでちょっと起き上がれませんが、大丈夫ですので、気にせずお通りください」と、転がったまま、いちいち説明するハメになりました。
  ようやく起き上がれた私は、尾てい骨がまだ痛くて、右足に力が入らないので、スキー場の診療所で診てもらおうと思いました。
  マップを見ると、診療所はゲレンデのまん中を下った所にあり、私の現在位置はゲレンデの一番右端でした。
  下の道を歩いていくには距離があるので、仕方なくリフトで上り、痛いのを我慢しながら、スキーで診療所を目指しました。
  診療所につくと、何人か先客がいました。
  スキー場スタッフに付き添われた若い女性は、他のお客さんと衝突したとのことで、なんだか目の焦点が合っていませんでした。
  受付では、「夜行バスでさっき着いたんだけど、友達が具合が悪くなった。
実は前日に交通事故にあっていて…」と説明している人がいて、駅前の大きい病院に行ってたほうがいいと言われていました。
  なんか、自分がとても軽症に思えて、診療所に来たことを申し訳なく思ってしまいました。
  診察は、レントゲン設備がないので足の動きを診て、湿布薬を貼って終わりでした。
  しかし、その後1週間、痛みがひかなかったので、心配になり整形外科を受診しました。
  レントゲンの結果は、特に異常なしで
「尾てい骨あたりは、神経が集中しているから、あと1週間ぐらいは痛いよ」と医師から言われて、湿布薬と鎮痛剤をもらいました。

  あの日は前日が睡眠不足で、その反動でたっぷり睡眠をとったため、朝から調子が良すぎて、逆に油断して転倒したのでしょう。
  もう、夜行で行くのはやめようと思いました。




  

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