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のらねこ旅日記≪恐山・比叡山≫

  社会人になりたての頃、大学の友人と青森県に行きました。
  彼女の知り合いが三沢に住んでいて、そちらを頼っての旅行でした。
  貧乏旅行だったので、行きは夜行の急行列車。
  車内のあちこちから、ボソボソと日本語ではない話し声が聞こえて
『中国人の団体さんでも乗っているのかな?』と思いましたが、どうやら青森弁もしくは津軽弁だったようです。
勘違いしてごめんなさいでした。
  三沢のOさんのお宅に1泊し、翌日はOさんご一家(奥様と小学生の娘さんと息子さん)と一緒にワゴン車で1泊の下北半島観光に出かけました。
  そして、連れていってもらったのが、
日本三大霊場の一つ『恐山』でした。
  恐がりのクセにオカルト好きな私は、心が踊りました。
  暗雲たれこめた白い岩山にたくさんのお地蔵様と積み重ねられた石、からから回る風車…と、おどろおどろしいイメージで訪れた恐山でしたが、
  季節は真夏、その日は雲一つない晴天でした。
  青い空に白い岩山のコントラストがまぶしく、おどろおどろしい雰囲気など一切ありませんでした。
  その先には極楽浜という白い砂浜と青と碧のとても透明でキレイな湖がありました。
  『ヤシの木を立てて写真を撮ったら、南の島で通るんじゃないか』なんてバカなことを考えながら散策しましたが、照り返しが強くて暑かったので、おばあさんがヘラでコーンに盛ってくれるちょっと水っぽいアイスを買って食べました。
  暑いせいか、いつもは何人かいる
口よせの『イタコ』さんも1人だけで、パラソルの下、サングラスをかけて座っていました。
(現在は、お祭りの時だけいるようです)
  想像とだいぶ違う恐山でした。

  次は比叡山延暦寺のお話です。
グルメと温泉が好きな友達に誘われて琵琶湖近くの料理自慢の宿に泊まりました。
  翌日は比叡山延暦寺から京都へ行く予定で、電車とケーブルカーを乗り継いで比叡山に入りました。
  この日は、ずっと曇り空で、ケーブルカーからの景観もいまいちでした。
  比叡山延暦寺の境内は、なにやら重々しい雰囲気で、あまり大声で笑ったりしてはいけないような気がしました。
  散策していると『○○のためこれより立入禁止』の札が立っていました。
  なにか特別な行事のようで、遠くで読経の声が聞こえました。
  まわりには、『野猿注意』の看板もたくさん立っていてたので、そうそうに京都に移動して観光を続けました。
  後日、旅行中に撮った写真(当時はフイルム)を現像すると、おかしなことに気がつきました。
  比叡山で撮った写真だけ、全部ピンぼけでした。
  私のカメラはオートフォーカスのお手軽カメラで、最初は手ブレしたのかなと思ったのですが、友人が撮ったものも、通りすがりのオジサンに撮ってもらった友人とのツーショット写真も全てピンぼけでした。
  でも、その後京都で撮った写真はちゃんときれいに写っていました。
  あの重々しい空気の中に、何か見えない力が働いていたのかもしれません。
  
  

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