のらねこ日記いきもの編ヘビ
小学生のころ、日曜日の昼下がりだったと思います。自宅のアパートの裏で大人たちが集まって何やらワイワイしていました。
アパートの裏は、切り立った斜面がそびえていて昼でも薄暗い場所でした。
なんだろう?と様子を見ていると、
男の人3人がかりで持ち上げたものは、
長さが1.5mほどのアオダイショウさんでした。胴体もなかなか太くて立派なアオダイショウさんで、私は『ここいらの主では?』と思いました。
捕まえみたものの、明らかに大人たちは、アオダイショウさんをどうするか困っている様子でした。
結局、少し離れた山(といってもまわりは、住宅地)に持っていって逃がしたそうで、『主さんを、よそに逃がしたらダメでしょ、そもそも何で捕まえたの?』と思いました。
私が通っていた高校には定時制もありました。定時制の学生とは、ほとんど交流はありませんでしたが、一時期、1人の定時制の男子生徒が生物部に出入りしていました。
定時制の授業が始まる前の時間から、
放課後の校舎内をうろうろしていて、
生き物に興味があると言って、生物室に入ってきました。
ちょっと変わった子でしたが、まぁ、いいかと、先輩たちは彼の出入りを許可しました。
ある日、彼が1匹のヘビさんを生物室に持ち込みました。種類はわかりませんが、30cmくらいの茶色いヘビさんでした。
先輩たちは、空いていた水槽にヘビさんを入れて上からアクリル板で蓋をしました。
放課後、私が生物室に行くと、たまたま誰もいませんでした。
ふと、水槽をみるとずれたアクリル板の蓋の隙間から、ヘビさんが頭を出していました。
『ヤバイ!このままだと、逃げちゃう!』
もし、このままヘビさんが逃げてしまい、どこかに潜んで、授業中にでも出てきてたりしたら大事件です。
私はヘビさんを水槽に戻そうと、アクリル板を外し、ヘビさんのシッポの方をつかんで引っ張りました。
ところがヘビさんは水槽の縁につかまっているかのように、ピクリとも動きませんでした。
『手足ないのに、何でつかまってられるの?!』私は焦りました。
頭の方をつかんで水槽に戻せればいいのですが、さすがに頭の方をつかむ勇気がなかった私は、ヘビさんのシッポを引っ張り続けながら、
『早く誰か来て~!』と心のなかで叫びました。
もし、ヘビさんが水槽の縁につかまるのを止めてこちらを振り向いたら、私は怖くて手を離してしまったでしょう。でも、私が引っ張り続けたせいで、ヘビさんも水槽の縁で踏ん張る形になり、とりあえず逃走を阻止することはできました。
この後、先輩たちがやってきて、ヘビさんを水槽に戻してくれて一件落着しました。
ヘビさんは、定時制の彼に戻されましたが、その後も彼は大量のカタツムリさんを持ち込んだりして、とうとう生物部を出禁となりました。
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