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インターネットのつかわれかた

唐突だけど、インターネットについて感じていることを少々。個人の体験に基づいているのでずれを感じる人もいると思います。

2023年現在で、インターネットが主に使われているのはこんなところだと思う:

  • ウェブ

    • 情報発信

    • アプリケーションプラットフォーム

    • ソーシャルメディアの基盤

  • メール

    • 個人間連絡

    • メールマガジン

    • 個人のアイデンティティ、認証手段

  • Web3(ブロックチェイン)

  • チャット

    • チャットは、2023年現在では、直接インターネット上で作られ・使われるのではなく、ウェブ上で作られ・使われることが多くなっているようだが、一応載せておく

「インターネットのせいで〜」といった負の側面として語られることは、殆どが「ウェブのせいで〜」ということになると思う。

FTPもインターネットの上に作られて、実は今でもよく使われているが、どこに位置付けたものか。「ファイル転送」にはウェブが用いられるようになっており、FTPはウェブサイトを作る手段の一つとしての意味を持っている。
ファイルの一般的な「転送」というよりはウェブサイト制作のための物と認知されているように思う。「ウェブサイトの材料置き場に置く(ウェブアクセス可能な状態にする)」ことで「ウェブサイトを作ったり更新したり」といった目的だ。
ファイル転送という目的では、BitTorrentや、これも「かつては」と言っていいだろうが、Winnyなどもあった。

ウェブ

ウェブの起こり・目的は、論文の公開・閲覧だった。つまり、発信がパブリックであることが織り込まれていた。個人間の深い、親密な、秘密のコミュニケーションは意図されていなかった(と推測する。調べてない)。
そういうのはメールやチャットでできただろう。IRCは1988年の生まれらしいので、ウェブの一歳上。既に存在していた。パソコン通信といった、インターネットを使わないチャットも既にあっただろう(未確認)。

ウェブ(WWW)というプラットフォーム上でコミュニケーション手段(ソーシャルメディア)が作られた時、デフォルトでパブリックである、ということになった。話しかける相手は個人だったとしても、それはパブリックな発言なので、世界中の人間が見て、反応することができるというのがデフォルトになっている。
ウェブ当初の目的に含まれていなかった用途で使われているために、ソーシャルメディアの負の側面が大きくなっているのかも知れない。
一方で、それまでに「デフォルトで公開された状態」の、ユーザー獲得への効果が広く認められていたから、ソーシャルメディアも敢えてそのデフォルトを選択しているという面もありそう。
一方で、メールなどのようにパブリックではない物の上に作られていたら、こんなに広まらなく、社会インフラのようになっていたかは分からない。

かつてはプロトコルの特徴としてチャット目的ではオーバーヘッドが大き過ぎるとか、ファイル転送目的では再送の仕組みが(プロトコルには)なくて不安定とかあったかも知れないが、今では高速インターネットの普及、HTTP/3やWebSocket、Web Transportの策定・実用化で解決されていると言っていい。

メール

メッセージングにはウェブ、ソーシャルメディア、チャットなども用いられているが、私企業や国家機関が管理していない・それらに依存していない(というのは微妙な言い方で、ある個人が使っているメールに着目すると、Gmail色んな企業や国家機関に依存している)、個人の認証に用いる、という特徴の故に生き残っているように思う。

企業間で協業する際に、チャットツールをSlackにするかChatworkにするか、どちらかしか選べず、様々な企業と協業していくうちに結局どちらも使わざるを得ない、という状況が出来上がり、厭われているが、メールはどの企業も使っているという前提を置けるのがアドバンテージになっている。
もしメールが一企業によって管理されているとしたら、その企業の都合で仕様変更を繰り返し、それによって徐々に使用人口が減ってしまっていたのではないか。そうなると「どの企業も使っているという前提」は置けなくなる。

優秀なスパムフィルターが最初からついているGmailの出現もこれまで残ってきたことに貢献しているだろう。

Web3

全然知らないけど、インターネットの上に構築されていて、ウェブとは全然違う仕組みで出来てるっぽく見える。

チャット

チャットは、かつては直接インターネット上に作られる物として存在した(IRC、ICQ、Jabber、Skypeなど)。今でもそれは残ってはいるが、下火になっている。2023年現在では、技術としてはウェブ上に作られることが多い。
一対一用のチャット(Skypeなど)と、複数人同時用のチャット(IRCなど)がある。というか分けて考えた方がいい場面が多い。

ウェブがインターネットの代名詞になり、チャットはウェブと違ってそもそもが閉じた関係の中でのコミュニケーションなので、「インターネットのせいで〜」と言った負の側面が語られる時に、念頭に置かれていないことが多いように思う。つまり「インターネットの負の側面」は殆ど「ウェブの負の側面(ウェブをコミュニケーション手段に用いたための負の側面)」である。
COVID-19パンデミック下で「インターネット」が荒れたが、それはウェブ上に築かれたソーシャルメディアが荒れたのであって、LINEやTwitter DMなどの一対一コミュニケーションは、あるいは仲のいい人が集まっているSlackワークスペースやDiscordサーバーはそんなに荒れていなかったのではないか(調べてはいない。観測範囲でのこと)。

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