歪んだ楽観主義、精神勝利法とは
精神勝利法とは、魯迅 阿Q正伝の主人公が身につけていた考え。
解釈を歪めて常に勝利していく姿は、匿名掲示板の強者を思わせます。
何かあっても常に良い気分であれば、それは楽観主義と言えるのであり、悲観主義より、ずっと健康的であると言えなくもないです。
行き過ぎた楽観主義を表す言葉として、ポリアンヌ的(全て良かったこととする考え)というのがありますが、今回は精神勝利法について語らせていただきたい。
ちなみに楽観主義というのは、ワンパンマンのキングの周りの人のように振る舞うことを言います。
阿Q正伝の中の精神勝利法の1例
阿Qは賭けに勝って大金を手に入れるのだけど、トラブルに巻き込まれそのお金を失ってしまう。
気がすまない彼が、寝る前に自分で自分を殴ります。
すると誰かを殴っているような気分になって、気持ちよく眠れた。
同じ状況で我々が考える精神勝利法とは「誰かがそのお金を手に入れて幸せを味わっているんだろう、自分は良いことをしたんだ」くらいになるでしょうか。
全ての楽観主義者は現実を歪めている
多かれ少なかれ、楽観主義というのは現実を歪めます。
単純に、気持ちをポジティブな方向に持っていくテクニックのようなものなのです。
楽観的に解釈すれば、物事は何もかもうまく行くわけではないですが、少なくとも気分が塞ぐことはないし行動力が上がりますね。
最近見た中で最も精神勝利していた人の話
今から2年くらい前でしょうか。
LOL(リーグ・オブ・レジェンズ)という対戦ゲームをしていた際に、AFK(パソコンの前から離れること、転じて別なことをするという意味)していた味方がいました。
そのゲームでは、途中でAFKをする人に「メンタル弱いwww」と言う人が多いのですが、そのAFKしていた彼が「俺は課題をやる」と言ったので、誰も喋れなくなってしまったのです。
A ゲーム内の文化では試合放棄しないのが偉い
B 現実世界の文化ではゲームせずに生産的な活動をするのが偉い
彼のしたことは、ただの試合放棄です。
しかし、現実世界に引き戻された他のプレイヤーからは、時間を無駄にしない意識高い人のように見えました。
ゲーム中に集中力が切れて辞めたくなった場合、他の生産的な作業をすることで、精神勝利を収めることができます。
悲観主義者は現実をしっかり認識しているのだけど
精神分析学の創始者ジークムント・フロイトが言うには、精神障害になってしまう人は、ただ真実に対する鋭い目を持っているだけなのだそうです。
われわれの知る限りでは、彼は自分をかなり理解しているのであった。人はこのように真実を理解できるようになる前になぜ病気になるのか、われわれの不思議に思うところである。 ジークムント・フロイト
先程のLOLの話に戻します
悲観主義者が試合に負けた時の反応
「試合に負けた原因は、自分または味方が弱いからだ」(もっと具体的に分析しないと上達はないのだけれど)。
精神勝利者が試合に負けた時の反応
「今戻った。試合は楽しかった。お前らも頑張れよ、じゃあまたな」(試合中にAFKしてたので、試合後のロビーでのセリフ)
このように歪んだ楽観主義者は、春先の午後に吹くそよ風のような人物になれます。
終わりに
あんまり現実的になるのは良くないという話でした。
物事を正しく解釈するのは大事ですが、合理的ではない場合も多いです。
ちなみにサムネイルの絵は、クロード・モネの「ルエルの眺め」という絵です。
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