かれいに、変身

歳を取ったな、と思うことが増えた。

最近、どうも肌が乾燥する。職場の空調の攻撃により、やけに腕や首元が痒くて仕方がない。これまで無縁だったボディケアに、今年は金をかけている。
マスク生活のせいか、フェイスラインに出来物ができても治らない。すがる思いで美顔器を買ったところ、効果は絶大だった。

夜、0時を過ぎると眠くなるようになった。
かつては3時ごろまで将来への不安やら、その日1日に自分が起こした過ちへの後悔で頭がいっぱいだったが、今となっては来たる新たな明日を無事過ごすため、1メモリでもHPを回復させるために必死である。

体の不調が増えた。
気圧の影響を受ける体質になってしまい、雨の日や台風シーズンは頭痛薬が欠かせない。生理前の情緒不安定さと具合の悪さは一級品で、毎月女に生まれたことを泣きながら後悔する。

あぁ、あの頃人類最強だった私では無いのだなと、身につまされる。


歳を重ねたなと思うことが増えた。

食べられなかった食べ物を、美味しく感じられるようになった。
代表例は牡蠣とレバーである。幼い私の舌には、どちらも苦くて生臭くて、大人が言う「将来美味しく食べられるようになる」という言葉を全く信用できなかった。
今となってはである。先週は鶏のハツとレバーを購入し、美味しくいただいた。

人への贈り物を選ぶことが、とても尊いものだと気付いた。出産、誕生日、引越しなど、周りの大切な人たちの節目を祝えることがとても嬉しい。プレゼント選びは、大抵予算オーバーしている。

家族との話題が増えた。今は離れて暮らしているが、時折顔を合わせた際には、以前はこんな会話はできなかったな、と気づくことが必ずある。
それは思い出話であったり、あの時本当はこんな気持ちだったと吐露することであったり、この先の話であったり。昔感じていた息苦しさは、そこにはない。

人が唯一平等なのは時間の流れだけなので、
私はこれらの全てを愛したい。
これからもっと歳をとって、歳を重ねて、わたしはいつまでもかっこいいおばあちゃんになりたい。

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