関数男物語〜灼熱のヒト02〜
ようやくのことで最後の一人分の所見シールを貼り終えた数男は、冷蔵庫から冷たい麦茶をコップに注いで一息ついた。しかし、周りを見渡せば未だに通知表作成に四苦八苦している職員が多い。中には、今ごろになってもテストの採点をしている者までいる。
「これは、まずい…。」
学期末という大義名分を得て、堂々と時間外労働を「仕方ない」とする表計算小の職員室の雰囲気に数男は危機感を覚えた。普段、比較的早く帰宅する学年主任の田中明子でさえ作業のゴールは見えていないようで、必死に成績ハンコを