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関数男物語〜その手で変えてごらん02〜

 連休明けだとしても、子ども達と授業や活動をするのは活力を与えてくれる。月末に迫った運動会に向けて、練習も本格的にスタートしはじめるため、連休ボケなどをしている余裕がないのも事実ではあったがー

 あっという間に一日の授業を終えると、数男は、いよいよ「脱紙計画」を始動させることにした。最初に着手するのは、「運動会計画」である。

 この春、異動してきたばかりの数男は、体育主任であるものの、表計算小の運動会のイメージが全く掴めていない。もちろん、これまでの教員経験で運動会の準備に必要な手順はなんとなく想像することはできる。
 しかし、地域とのつながりも大きい運動会は、学校ごとの特色が色濃く映し出される行事でもある。実際、表計算小では、地域の伝統芸能とのコラボレーション種目が予定されていた。そして、その伝統芸能の指導者との連絡調整や全校種目の企画は、体育主任である数男に任されていた。

 それらのスケジュールを管理するために、数男は、Googleカレンダーを使うことにした。Googleカレンダーであれば、職員室のPCからも、iPadからも確認できる。もちろん、Androidのスマホからも確認できる。
 数男は、Googleカレンダーに「体育主任」というカレンダーを設定した。そして、全体計画で示した日程をカレンダーに転記していく。さらに、全校練習や伝統芸能種目の練習計画をPDFで資料として差し込んでいった。
 これで、「いつ、どんなことをするのか」をタブレットで把握できるようになった。しかも、リマインダー機能を使うことで、失念してしまいそうな予定も自動で通知が来るように設定できる。

 とりあえず、運動会までのスケジュールと現時点で周知済みの計画資料を差し込んだところで、数男は、「6年生」というカレンダーを作成した。実は、恐ろしいことに、表計算小学校の6年生は、運動会実施、二週間後に修学旅行に出かける。つまり、体育主任で6年生担任の数男は、運動会準備と修学旅行準備を同時に進めていかなければならないのだ。そこで、数男は、「6年生カレンダー」には、修学旅行の業者との打ち合わせや、保護者向けの案内文書などを載せることにしたのだ。

 「体育主任」と「6年生」を分けてカレンダーを作ったのには、数男なりの理由があった。Googleカレンダーは、同時に複数のカレンダーを表示することができる。そして、それらのカレンダーを、「体育主任=赤」「6年生=青」と色分けすることで視覚的に把握しやすいというメリットがあった。

 完成したカレンダーを見て、数男は、悦に浸っていた。体育主任としての業務と6年生担任としての業務が一覧で把握できる。この時点では、まだ数男は気づいていなかった不備もあるのだが、このカレンダーが表計算小に大きな動きをもたらすことになったのだ。

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