エッセイ「 出前の皿 」
納豆ご飯の支度をする気力すら無い、そういう時は出前を頼むのが、
妻との暗黙の了解になっている。
近所にある、馴染みの蕎麦屋に出前を頼んだ時の事だった。
注文した山菜おろし蕎麦を汁まで平らげて、食器を洗っていた。
出前とはいえ借り物の食器である。
出来るだけ綺麗に洗って返却しようとした。
と、力みすぎたのか、私は、蕎麦屋の食器を落として割ってしまった。
見事な大皿が、取り返しがつかない程に真っ二つになった。
何やら大胆な模様が入っている。
なんだか高価な物のようにも思えてきた