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先生は極道の妻 #下道一組

親を恨んでもしょうがねぇが、もうちょいどうかならなかったのかねぇ、下道、これシタミチなんだが、中学ん時のバカが、げどうって読み違えやがった、そいでなぜか担任の峰子先生ものっかっちゃってゲド-くんって。それで、忽ち学校中がゲドー、ゲド-ってなったんで、隣の中学の外道志してる番長が果し状持って学校に殴り込んでくる羽目になっちまった。で、しぶしぶ埠頭でタイマン張ったら勝っちまった。そしたらそいつが、兄ィこそ本物のゲドーだって、勝手に子分になったもんで中学卒業する頃にゃ、子分が50人くらいに膨れ、極道世界に名乗り上げることになったのさ。そんとき、親父が堅気かたぎづらして「下道したみち」は使わせねぇて言うもんで峰子先生が間に入って俺の名を加えて「下道一組したみちはじめぐみ」で手打ちしたってわけ。俺はなんのはずみか、二十歳の生誕日に先生と夫婦の盃を交わしたんだけど、どうも組立ち上げんとき親父と先生が密約を交わしてたみたいなんだ。まんまと二人の企み通りなったわけさ。いまじゃ峰子のやろう、立派な極道の妻張ってござんすよ。

#短編小説 #ショートショート #掌編小説 #毎週ショートショートnote
#下道一組 #極道の妻


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