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【連載】独裁者の統治する海辺の町にて

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過疎の漁師町がある政治結社組織に統治された。否応なく組織に組み込まれた中橋康雄は少女凛子と組んで親友の神学者登坂士郎を殺害する。組織の統治支配の恐怖のなかで康雄と凛子はどうなるの…
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2024年3月の記事一覧

独裁者の統治する海辺の町にて(25)

独裁者の統治する海辺の町にて(25)

士郎が論文で否定していた「原始共産制」は、簡単に言えば生産従事者の生産従事者による生産従事者のための無階級社会ということになるが、そこには常に指導組織として「党」が君臨するわけだから、党がそれを理想とすることはもちろん自己撞着になる。まあそんなことは普通の知能があれば誰でも分かることだが、党の理念となっているからには何人も批判できない。ばかげたことだって分かっていながら従わなければならないことほど

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