婚活11 もうどうでもいい男
さて後半戦のフリータイムが始まる
前半戦はまるで手応えのないまま終了
会場が大人数の割に狭く、人を避けて移動しないとなので目当ての女性に辿りつきづらい
更にテーブル、椅子が行手を阻む
[これは苦戦するかも]
M市まで来て
ビジホまでとって
高めの参加費を支払い
これで成果ゼロのボウズは何としても避けたいところ
後半戦のフリータイムにかける
話したい女性を探していると、目鼻立ちが整った中条あやみ似の美人がいるではないの?!
前半戦に居たっけ?
取りこぼしすぎて覚えていないが、とにかく今はフリーでポツンと居るぞ?!
早速声をかけてみる
俺
[お話し良いですか?]
[凄くお綺麗でこの会場で目立ったので声をかけさせてもらいました]
彼女
[え〜私なんて、なんて事無いですよw]
[お住まいはどちらですか?]
俺
[M村の村民です]
彼女
[あ、私、前に仕事で住んでました]
そんな話をし始めてから、彼女のドリンクがない事に気付く
俺
[飲み物取ってきましょうか?]
彼女
[じゃあカシスオレンジを]
[ありがとうございますw]
狭い会場、人混みの中をぬいながら彼女の為にカシスオレンジを取りに行く
きっと彼女は俺を待っていてくれているだろう
ドリンクバーまで遠い道のり
貴女の為にカシスオレンジをこの人混みの中、取りに向かっています僕は
きっと彼女には俺は紳士に映って見えているだろうねw
俺の背中は大きく見えているかいw?
頼れる男だよ俺はw
これは好印象でしょw
カシスオレンジを手に取り、急いで彼女の元へと人混みを避けながらようやく戻る
…あれ?
…他の男性と話して居るぞ?
手にしていたカシスオレンジの氷が虚しく
[…カラン…]
初夏にも関わらず、既に夏の終わりを告げるかのように寂しく手元で鳴った…
フリータイムなんて椅子取りゲーム
他の男性と楽しそうに話している彼女にカシスオレンジを渡す
彼女
[あ…すみません]
これ以上、彼女に固執していてもしょうがない
俺に興味も無さそうだったし
見極めろ、時間はまだある
他に女性は居るんだ、ここは切り替えよう
と、別の女性と話し始める
髪は明るめの茶髪で
顔立ちは良くも悪くも
(俺程度の顔立ちが言うな)
うん、話しやすいし感じは良い
しばらく話して連絡先の交換をしませんか?
と聞いてみたところ
女
[私そんな軽い女に見えます?]
予想外な斜め上からの、まさかの返答が着弾!
…え?
…はい??
[連絡先の交換はどうぞご自由に!]
の、婚活イベントだよね?!
連絡先を聞かれても良いから貴女も来たんじゃ無いの?!
それとも俺が時間が無いから焦って聞いたのがいけなかったか?
俺
[…失礼しました]
はぁ〜…
もうこんなん言われてテンションは下がるわ
時間は無いわ
男も女も飲みだすと席から動かねぇわで
楽しくない
つまらない
さっさと帰りたい
もうじき終了時間だから酒飲んでスマホ眺めて時間を潰す
今回は泥試合に終わりそうだ
最後に気になる人の番号を適当に書いてスタッフに渡す
司会
[お疲れ様でした、今回のカップリングは◯組でした!]
もうどうでもいい…
こうしてM市まで来て
高い参加費を払い
今回の泥試合をやりきり
タバコ臭い部屋で飲み直し
そして就寝につく
何しに来たんだ今日は
成果ゼロのボウズを見事に喰らった夜
この婚活で何人もの女性と連絡先を交換する野望は
カシスオレンジの氷の様に静かに溶けて消えて無くなっていった…
つづく
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