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起業家以外も応援する。社会課題解決を学ぶ大人の学校『ESSENCE』が生まれた物語

*2022年1月18日更新

株式会社talikiは、社会課題に対して活動する方の背中を押す新規事業『ESSENCE』を2021年に開始しましたが、2022年3月より第二期を開催することが決定しました!(締め切り:2/24(木))

この『ESSENCE』では、過去のサービス(社会解題解決を行うベンチャーや上場企業を対象とし、事業創出にコミットしてきた)とは異なり、社会課題の解決に寄与したい企業人(金融機関・CSR担当など)や士業の方を対象とし、「社会課題を現場で知ること」「全国各地で同じ志を持つ仲間を作ること」「人の巻き込み方を学ぶこと」にフォーカスしています。

0:序章「時は既に来ていた」

私自身がこれを思い始めたきっかけとしては、talikiで社会起業家に対してイベントを開催すると実は起業家より民間企業の方や金融機関の方が多くいらっしゃることです。「社会課題解決の事業化」というトピックにおいては立場関係なく関心が寄せられているんだな、と肌身で感じていました。

しかし2020年以降に社会的情勢の変化もあいまって、より多くの人が「本当に社会のために何かしなくてはいけない」と感じ始めると同時に、「エコバッグって意味ないの?」「このままの資本主義だとダメなの?」と、結局どうやってこの膨大な課題に立ち向かっていけばいいのか、情報の濁流に惑わされているような事態になり始めました。

曲がりなりにもここ数年、ひたすら社会課題解決の事業立ち上げと推進を行ってきた会社として、社会起業家以外に対しても何かお力になれることはないのか。

そんな気持ちもあり、インキュベーションチーム(0→1の事業を増やすチーム)の原田岳・宇都宮里実に「社会課題解決知りたい大人向けのスクール的なのとかどう〜?」投げてみたところ、当初は想像していなかった参加する人へのラブレターのような事業が立ち上がりました。

この取り組みについて、事業責任者である原田・宇都宮と一緒に語ることで、魅力をお伝えできればと思います。

<登場人物>

俺_2021年春

原田 岳(以下がく):talikiのCCO(チーフカルチャーだかコミュニティーだかオフィサー)。この写真のファイル名は「俺_2021年春.jpg」

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宇都宮 里実(以下、さとみ):taliki最年少社員にして一番働いてる人。昨年京都に移住してきた。

中村photo_square

中村 タカ(以下、たか):国際協力→NY報道局→taliki創業。最近はもっぱらBTSとファンダムとの関係性と波及効果を歴史的・文化的・商業的背景から紐解くことにハマっている。

1:仕込み「板挟みの痛みからの解放」

たか:
ESSENCEをどんな経緯でやることになったのか教えてください。

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がく:
20代後半〜30代後半の経験を積んでいる社会人を巻き込むことで社会課題解決を加速させることが出来れば、というのが最初のきっかけでした。社会課題に対して何かアクションしたいと考えている人が学んだり背中を押してもらえたりするような場所ができれば、社会課題解決の風潮が強まるんじゃないかと思っています。

たか:
最初から結構ガッツリペルソナがあって設計したよね、この事業。

さとみ:
ヒアリングを通して、CSR担当の方や中小企業診断士、金融機関の方など、社会起業家ではなくてもESGやSDGsを見据えながら、ビジネスと絡めたり周りの人を巻き込んだりする必要のある立場の方の悩みを聞いてました。
例えばCSR担当の方から、他の社員との意識の差が大きくてソーシャルなイベント開催ができなかったというお話を伺ったりもして。
だから、こういう人たちのための場所を作りたいと最初は思っていました。

がく:
そういう人たちは社会課題をなんとかしたいと思っているけど、正しい方法が分からないという不安があるって言ってたね。
例えば金融機関に勤めながら地域貢献の活動もしているけど、本当にこの活動が地域貢献に繋がっているのかとか、この地域貢献は社会課題解決に寄与できているのか、というのを自分だけで判断するのはすごく難しい。そもそも本当の社会課題は何なのかというのを実際に見る機会もないし、それを教えてもらう機会もないから。

さとみ:
CSRって企業のブランディングという側面が強く、ハンドルは経営層が握っていたりするんですよね。
ただCSR担当の方としては、危機感や義務感を煽ったり、専門的な知識を淡々と伝えたりすることより、自分たちの身の回りで起こっていることや生活の中から誰もが社会課題を意識できたら、という想いがあったんです。とはいえ普段から社会課題を意識してない人には、身近な生活を見直してもらうのも難しいですよね。
本当に伝えたい人、巻き込みたい人に対して手軽にアプローチできる方法って意外と分からないし学ぶ場所がない。しかもCSR活動自体がその企業の本業ではないから、協力者を増やそうにも難しい。これってきっと多くの企業で起きていることなんだろうなと思っています。

2:武器「本当に知ること、そして伝えること、伝わらないこと」

たか:
そんな中で

・社会課題の現場で活躍するゲストから学ぶセッション
・日々の学びを振り返る習慣をつくるリフレクションワーク
・課題の構造や他者の背景を理解して仲間を巻き込むワーク
・フリーペーパーの制作

という要素で構成されているこのプログラムだけど。
社会課題を”本質的に”知るというのをすごく大事にしてるんだよね。どんな工夫があるんですか?

がく:
社会課題を伝え、身近に感じてもらう手段として構造化というのは効果的だと思っていて。
例えば、誰もが買うようなファッションブランドが実はバングラディシュの労働搾取の問題につながっているということも、その構造を知ったら自分がどんな行動をすればいいか分かりやすくなるよね。

さとみ:
構造を可視化することで、自分の立場がどこに位置していて、問題に対して自分の消費行動や環境がどのように影響を及ぼしているのかがわかるということですよね。

がく:
あと、構造化以外にもう1つ社会課題を捉えるのに必要なこととして、やはり「社会課題の現場を見ること」だと思っていて。今回のコンテンツでも、NPOの活動現場を見学したり、最前線にいるゲストの方とじっくり対話することになっています。構造を知ることと現場を見て想像を膨らますことで、初めて解決手段がクリティカルになるんじゃないかなと。

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今回もスーパー豪華なゲストの皆様…!

たか:
今回はそれと同時に、インプットだけでなくアウトプットすることも大事にしてたよね。ZINE(※自主制作の雑誌)を制作するという。
まず成果物を作ることにこだわった理由と、なぜZINEにしたんだっけ?

がく:
talikiのプログラムで根底にあるのは、実践する、実装するということです。社会起業家ではなくても、「人を巻き込めるようになる」という理想状態を目指すならインプットだけで終わるというのは不十分だと。
社会に対してアウトプットできる手段は文字とか、写真とかもあるけど、それだと込められる情報量が少なくて難しいのでZINEにしました。期待していることとしては、作って終わるのではなく、参加者の方々がターゲットとする人からの反応を見た上で、学び分析することですね。そこまで含んで設定しました。

さとみ:
伝えるという行為を通して、自分が届けたいターゲットはどんな人なのか、と改めて考える機会になる。自由な表現だけじゃなくて、仮説検証になるというのが大事ですね。

がく:
そうだね。ビジネスにせよ社会課題解決にせよ、相手のニーズは何なのかを知ることが一番大切だから、それを考える機会になります。事業作りとまではいかないけど、似通ったことがあるかなと。

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3:旅立ち「誰もが生まれてきてよかったと思える世界への門出」

たか:
参加者にはどのような状態で終わってほしい?

さとみ:
社会に対する違和感や「自分はこれがおかしいと思う」という声をもっと世に出しても良いと思ってるんです。企業人となると活動していく中で、色んなことを考慮しないといけないと思うけど、本来の自分が大切にしたいこと、幸せにしたいと思っている人について自信を持って発信してほしいんです。

がく:
そうですね。僕は「自信」と「絶望感」を味わえるといいのかなと。
今回ターゲットとしている方は、僕らの世代よりも経験豊富で実際に社会を動かしている世代です。

一方で、ひとりの人間が社会課題に寄与できるのってほんの少しですよね。
盲目的に自分の可能性を信じるのではなく、無力であるという絶望感と向き合いながらも、どうするのかを考える。そんな場になればと思っています。

さとみ:
そうそう、今回は普段運営する社会起業家育成プログラムより少し上の年代を対象にしているんですよね。いつも対象にしている方は、10〜20代前半の方が中心で、ピュアだからこそ出来る行動があるじゃないですか。
今回は逆に、社会に出て綺麗事だけじゃなく色んなことを経験してきた大人たちの叫びやエネルギーが可視化されたらいいなと。大人の叫びを聞きたいですね。

たか:
そういえば場の心理的安全性をいかに担保するとか、コミュニティらしさにいつもこだわってるよね。

さとみ:
基本的に、人は分かり合えない生き物だと思うんです。ただ、逆説的だけど完全に理解できないという事実を認知することによって、分かり合えることがあるとも思っていて。
だからこそ、改めてどうやって一緒に前に進めるのかというのを意識し仲間と頼り合うことで、より推進力を持つことができるんじゃないか、ひいては社会課題解決に近づくんじゃないか、と考えています。

がく:
あと、もしかしたら社会課題解決が本業じゃない人は、こういう活動の中で本当にしんどい時に頼れる仲間って作りづらいんじゃないかな、とも思うんだよね。
時流としては随分マシになったと思うけど、社会課題解決にガッツリ関わるというのはマイノリティになることでもあって、それをあえてやろうとしている訳だから。もしかしたら昔の友人や周りの人との意識の差によって距離ができてしまっているかもしれない。でも本気でディスカッションできる、気づきを与え合いコミュニケーションを取れるような仲間が、1人でもこの場所で見つかれば僕としては嬉しいことだなと思っています。

(以上、2人のインタビューでした)

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talikiとしては、やはり社会起業家を応援している会社でもあるので、今回の学びを通してより活動がアクティブになるのはもちろんのこと、投資先の若手社会起業家スタートアップに即戦力としてジョイン!なんてこともあったらいいな〜と夢を膨らませています。

締め切りは2/24(木)です!ご応募お待ちしております(^^)


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