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「1万時間の法則」の話

1万時間の法則を知っているかどうか尋ねると、結構な確率で知っていると返ってくるので、かなり知名度が高い話のようです。

一応説明しておくと、一つのことでプロのレベルになるには1万時間かかるというもの。
逆に言うと1万時間1つのことに打ち込めば誰でもプロのレベルになれるというもの。

ただ、本によっては5000時間と書かれているものもあって、そのあたりの感覚は人によって割と曖昧なようです。

まあ、どれくらいの時間やればプロのレベルになれるかなんて、やっていることの種類にもよるだろうし、要はどんな分野でも極めようとすればそれなりの時間がかかるということが言いたいのだと思います。

たぶん科学的に根拠があるものでもなくて、一つのことを極めるのには数年単位の時間が必要、というのを単に区切りが良い時間で表しているだけなのでしょう。

実際のところ5000時間と1万時間だと結構長さが違います。
1日8時間で月に20日取り組んだとしても、2年半ぐらいかかる計算。
一体どっちなんだ?と思うけれど、結局のところ、時間の長さよりも、どれだけ好きになって集中できたかが重要な気がします。

寝る時間や食べる時間も惜しまれるほど、好きになって没頭することができたなら、どんな分野でも5000時間でも相当のレベルになれるのではないでしょうか。

逆に、そこまで好きでもないことをだらだらとやっていたら、1万時間取り組んでいたとしても、プロと呼べるレベルにまではなっていないかもしれません。

大事なのは才能の組み合わせ

最近のビジネス書で「1万時間の法則」とセットでよく見かけるようになった話が、これからの時代は才能の掛け算が重要になるという話。

1つのことに1万時間打ち込めば、大体100人に1人くらいの人材にはなれるらしい。

ただ、世界には70億の人間がいて、日本だけでも1億以上の人がいるこの世の中で、100人に1人という存在はぶっちゃけそこまで珍しくない。

そこで、複数の分野でプロのレベルになることができれば、その才能の掛け算で替えのきかない人材になれるという話です。

つまり、2つの分野をそれぞれ1万時間打ち込んでいたとすると、それぞれの分野で100人に1人の存在になれるのですが、それを掛け合わせると100分の1×100分の1で1万分の1になり、かなり希少な存在になるというものです。

例えば、プログラミングがそこそこできる人は世の中にたくさんいます。
営業ができる人も世の中にたくさんいます。
でも、プログラミングができてかつ営業ができる人となると、途端にその人数は少なくなり、希少な存在となります。
それでいて経営もできる人となれば、その希少価値はさらに上がります。

このように、複数の分野を学んで、その才能を掛け合わせることで希少な存在になることがこれからの時代を生き抜いていくためには重要らしいです。

経験者という油断が命取りになる

ここからは私が新人研修の中で話している内容です。

新人研修では、主にIT企業の新入社員向けにプログラミングを教えています。
研修では、プログラミングが全くの未経験の人もいれば、専門学校や大学でプログラミングをやっていた人もいます。

プログラミング未経験で研修に来た人は、講義内容を理解するのになかなか苦労する人が多いです(特に文系の人は)。
学生時代にプログラミングをやっていた人は、当然未経験の人よりも知識が豊富なため、研修では割とスムーズに講義内容を理解する人が多いです。

そのため未経験で入社してきた人は、必死になって研修に取り組みますが、経験者として入社してきた人は、少し余裕をもって、油断してしまう人もいます。
長い目で見ると、この油断が命取りになります。

学生時代にプログラミングを学習していた人は、プログラミングという分野では1万時間に近づいています。
けれど、学生時代にプログラミングをメインに学習していた人は、逆に言うとそれしか強みがないことになります。

例えば、大学で外国語を専攻していた人は、プログラミングという分野では1万時間には遠いです。
しかし、外国語という別の分野では1万時間に近いスキルを保持しています。

その人がプログラミングを習得することができれば、プログラミング×外国語のスキルを持つ人材になれることができます。

プログラミングと外国語ができる人は、プログラミングしか強みが人よりも人材としての価値は高くなります。

つまり、研修という場においては、学生時代に経験して周りの人よりもできることで油断してしまうのは危険で、自分なりに勉強を重ねて更に上を目指したり、別の分野を磨いて自分自身を成長させていくことが必要になります。

研修という場に限らずですが、どんな分野でも、自分が経験者だからという理由で油断していると、長い目で見ると命取りになります。

希少な人材になるには、経験の有無に限らず、何事も謙虚な姿勢で姿勢で取り組むことが大事なのかもしれません。

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