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リーダーがいないプロジェクト

世の中にはリーダーが不在のプロジェクトが無数に存在している。
もちろん、ほとんどのプロジェクトで肩書きがリーダー(あるいはマネージャー)と呼ばれる人はいる。ただ、リーダーの肩書きを持つ人が、リーダーとしての役割が果たせていなかったり、リーダーとしての素質を持っていなかったとするならば、それはもうそのプロジェクトにリーダーが不在であることと何も変わらない。

そして、リーダーが不在のプロジェクトは多分、ほとんどの確率で失敗する。

リーダーの役割と素質

リーダーの役割とは
・ゴール設定、目標設定、方向性示すこと
・チームビルディング
・トラブルシューティング
あたりでしょうか。要は同じプロジェクトに参加するチームのメンバーが働きやすい環境を構築することが重要。チームメンバーの行動に迷いが生じないように、ゴールや目標、方向性を示す。他のメンバーとの共同作業やコミュニケーションを取りやすくするためにチームビルディングをする。問題が発生した時には率先してトラブルシューティングをして作業が滞らないようにする。これらの役割はリーダーが行うべき大事な仕事で、逆に言うとこれらの役割が果たせていないのであれば、その人は肩書きがリーダーでも実質はリーダーと呼べる器ではないでしょう。

リーダーの素質とは。これは一概には言えない。一言にリーダーと言ってもタイプは人それぞれ。自ら先頭に立って引っ張っていくタイプのリーダーもいれば、一番後ろに立って他のメンバーを後ろから支えていくタイプのリーダーもいる。和の中心に立って全体をうまく取りまとめていくタイプのリーダーもいる。カリスマ的な魅力で人を惹きつけるリーダーもいれば、親しみやすくてみんなから慕われるタイプのリーダーもいる。
リーダーのタイプはリーダーの数だけ存在すると言っても過言ではないけれど、プロジェクトを成功させるリーダーに共通しているのは、チームのメンバーから尊敬されていて、周りから一緒に働きたいと思われているということ。つまりは、チームメンバーから一緒に働きたいと思われているリーダーはリーダーとしての素質があるけれど、そう思われていないのであれば、リーダーの素質はないと考えていい。

プロジェクトが成功するかどうかはリーダーの存在だけに依存するものではない。けど、プロジェクトの規模が大きくなればなるほど、リーダーがリーダーとしての役割を果たしているか、そしてリーダーの素質があるかどうかはプロジェクトの成功確率に大きく影響しているように思う。

自分の役割

こんな話を書こうと思ったのは、まさに今、自分自身が関わっているプロジェクトが、リーダーがいないプロジェクトだと感じているから。具体的にどんなプロジェクトなのかについて触れることはできないけれど、IT業界のシステム開発に関するプロジェクトです。そのプロジェクトは工程としては既に中盤に差し掛かっている状態で、人員が足りないという理由から、私を含む複数の人間が私の所属している企業から参加することになった。途中から参加したということもあって、プロジェクトに関わっている人間が誰なのかを正確に把握できていない、というのもあるけれど、プロジェクトの説明を聞いたり、ミーティングに参加している中で、リーダーとしての立ち振る舞いをしている人がいない。もちろん、リーダー(プロジェクトマネージャー)という役割を与えられている人はいる。けれど、先に述べたようなリーダーとしての役割が果たせている人がいない。プロジェクトの明確なゴールがいまいち分からないし、やるべき作業も不明確なものが多い。誰に質問を投げても明確な答えが分からず、作業に対しての迷いと悩みが増えていく。誰がリーダーなのかがわからないし、そもそもリーダーが不在のプロジェクトだと感じてしまった。

そんなプロジェクトに参画している中で、今の自分の役割は一体なんなのだろうかと考える。おそらく、働き始めて1〜3年目くらいの、まだまだ若手と言われる世代であったのなら、自分の役割なんて考えていなかっただろうと思う。きっと与えられた作業をこなしていくのに精一杯で、自分自身の成長のためにがむしゃらに頑張っていたと思う。

目の前の作業で一杯一杯になってしまうのは、正直今でもあまり変わらないと言えば変わらないけれど、世間一般でいうところのいわゆる中堅と呼ばれるくらいの世代になって、全体の中での自分の役割を考えるようになることが増えてきたように思う。

自分でいうのもなんだけど、仕事に対するモチベーションは決して低くはないと思う。仕事に対して手を抜くつもりもないし、自分にできることなら全力で取り組んでいきたい。ただ、リーダーが不在で、成功している状態がイメージできないプロジェクトに参加している状況下において、プロジェクトの成功を目標にして働くことが自分の振る舞いとして正しいのだろうか。強い責任感や思い入れもなければ、立場上プロジェクトの進め方に対して強く口出しできるわけでもない。そもそもでシステムの仕様を知らなすぎて、提案レベルのことができるほどの知識もない。そんな状況で、プロジェクトを成功させることを一番に考えて行動するのは、成果が出ずに無駄なストレスが増えて終わるだけなのかもしれない。

おそらく、自分の立場と能力を考慮した最適な役割は、自分の身内(自分が所属している企業のメンバー)のスキルアップがしやすい環境と仕組みを作り、全体の技術力向上を目指すことのように思う。

自分に足りないもの

プロジェクトに対して、不満に思うことや、もどかしい気持ちは色々あるけれど、誰かに愚痴を言ったところでなんの解決にもならない。
問題を解決したければ、解決策を考えて行動に移すしかない。
とはいえ、立場上自分の行動でプロジェクト全体に与えることができるインパクトはきっとすごく小さい。仮に今の立場でプロジェクトに対してそれなりのインパクトを与えようと思ったら、圧倒的な技術力を持って、圧倒的なスピードで作るべき成果物を作るしか道はないのではないかと思う
誰に何を聞いても明確な答えが返ってこない。だとするならば、与えられた情報を持って、考えうる限りベストだと思うものをスピード重視で作り上げ、作ったものを直接確認してもらいながら改善のサイクルを回す。これが、プロジェクトを少しでも良くするために今個人的に考えるベストな行動。ただ、自分にはまだそれができるための技術力がまだまだ足りていないと思った。それなりに経験を重ねてそれなりのスキルも身につけたつもりではいるけれど、まだまだ力不足を実感している毎日。自分の役割について考えながら、自分のスキルをさらに上げるための最適な行動をしていきたい。

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