知識がないときに感じる違和感が大きな可能性を秘めている

IT業界で働いてかれこれ10年近く働いています。
エンジニアから講師に転職したので業種こそ1度変わったものの、業界は社会人になってからずっとITにいます。
そんな私ですが大学生の時はPCの操作もおぼつかなく、IT業界にはほとんど興味がありませんでした。

当時は1人暮らしがしたかったので、とにかくどこでもいいから就職がしたかったです。
就活の時に色々な企業に落ちて、最終的に受かった企業がIT企業でした。
そこに入社することに決め、そこからITの勉強を始めました。

入社する前、ITの仕事の認識は「手作業で面倒な作業をコンピュータによって自動化する」という認識でした。
それは私としては、人間が何もしなくても、勝手に機械が色々な作業をやってくれて、人間はほぼ何もしなくてもよくなる。
という認識でした。

でも、実際にIT業界で働いてみると、イメージと全然違いました。

私が所属する企業は、企業向けの基幹システムを作成して、導入、サポートまでを行う企業でした。
企業にシステムを導入すると、確かに紙に手書きで色々書いたり、自分で電卓をたたいて計算するようなことは減ります。
しかし、ユーザーは手書きがなくなった代わりにPCで色々な情報を打ち込み、システムの様々な機能を使いこなしてほしい情報を取得したりします。
確かに、タイピングをマスターすれば手書きよりははるかに作業が速くなりますし、システムを活用することで計算のミスなども減ります。

でも結局人間がコンピュータを使って行う作業が多くあり、これの「どこが自動化??」という違和感を抱いていました。
しかも、プログラムで実現することが難しい事柄が出てくると、「運用でカバーする」という、自動化とはかけ離れた言葉を使って対処しようとします。
現代のITの力は所詮こんなものなのか。。
というのが新人の時にIT技術に対して抱いていた正直な感想です。

ただ、怖いもので、人間ずっと同じ環境にいると違和感にも慣れてきます。
自分がプログラムを作成する際にも、「この部分は運用でどうにかカバーしてもらおう。」と考えるようになります。
慣れって恐ろしい。。

近年はAIの発展が目覚ましいです。
人間の仕事がどんどんAIに代替されて、人間の仕事がなくなっていく、という話もよく見かけます。
AIに仕事を奪われるというと、何となくネガティブな話題として話されることも多いようですが、私がIT業界で働く前に抱いていたITのイメージはまさにそういう感じでした。
ITの知識がほとんどない状態の時のIT業界のイメージに、現実が追い付いてきたような感覚です。
そう考えると、知識がない状態の時に抱いていた違和感というのはバカにできません。
結局私はその違和感から新しい何かを生み出すことはできませんでしたが、世の中に新しい価値を提供できる人というのは、自分が感じた小さな違和感を自分の理想通りにしようと努力してきた人だと思います

話は変わりますが、経営コンサルタントの方は、クライアントの業界に対する専門的な知識がないからこそ重宝されるという話を聞いたことがあります。
専門知識が豊富な人は、その知識が邪魔をするせいで視野が狭くなり、独創的なアイデアが出にくくなるのだそうです。
コンサルタントはその業界に対する専門知識がないからこそ、その業界の常識に縛られない柔軟なアイデアを出すことができて、重宝されるのだそうです。

つまり、専門的な知識がない状態の時に抱く違和感は強力な武器になる可能性があるということですね。

私は現在は講師として、IT未経験者や、これから社会人になる新社会人に向けて、IT技術を教えています。
自分が持っている知識やノウハウをできるだけ多く伝えたいと思っていますが、それと同時に、未経験であることを強みをつぶさないような工夫が必要だとも感じます。
知識やノウハウを効率よく伝えるとともに、受講生が感じる違和感、つまり可能性を消してしまわないような教え方を目指していきたいです。

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