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「しょうがない」日々/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(22.4.10-22.4.16)

外国人、入管、移民、というようなキーワードで新しいニュースがあればgoogleアラートがメールを送ってくる設定にしているのですが、そんな経路で今週、目に留まった1本を選ぶならこれかな。

「外国人を含めた日本の総人口は、1億2550万2000人で」といわれれば、そうか、日本の人口に外国人も含まれるんだな。
いまさらですが、そこに無ければ無いですねならぬ、そこに居るなら見えないフリをすべきではないですね
なお、「都道府県別では、沖縄県を除く46都道府県で人口が減っていて」というのですが、別のところに以下のコメントあり、沖縄が人口増モードで盛り上がっている・とは思えません。

沖縄県は0.07%増の146万人だった。自然増が社会減を上回ったが、増加率は過去10年で最も低くなった。同県の担当者は「高齢化率が低く出生率が高いため自然増が維持された。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大で移住者が減少し、社会減となっている」と話した。

日経新聞22/4/15

■われわれはそういう国に暮らしている、という認識を持つべきであって

■「上から」っぽい発言を見かけるたび、せめて最後にてへぺろ。ぐらい付けたらどうか、と思わないではないです

■あと、またぞろ再燃しつつある入管法改正については、以下のスタンスに同意する私。この件は言い続けたいですね

■さて。ウクライナ「避難民」の話といえば

一応ミャンマーについても本邦政府が無策なわけではないと紹介しておきます。

ほかにもフランスの話とか、興味深く読んだし

今週の法相閣議後記者会見でも当該トピックが俎上に。

ウクライナ避難民のことで再度質問します。現在、条約上の難民ではなく、避難民という形で受け入れていますが、UNHCRが2015年に、難民認定基準の見直しというか、新たな補足という形で難民保護に関する国際基準とか新たなガイドラインを作成して、難民の定義を、戦争や紛争、占領、大規模な人権侵害などから逃れてくる集団的な避難者にも適用するよう条約難民の定義を拡大しました。
しかし、日本で基準が厳しくて、いまだに難民認定率が1パーセントに満たない状況ですし、近年紛争とか軍事クーデターから逃れて来日したり、あるいはそれ以前から日本に在住する難民申請者、例えば在日ミャンマーの方ですとか、アフガニスタン、シリアなどから日本に庇護を求めている人たちに対しては難民認定せず、特にアフガニスタン人に対しては、難民申請しないように、外務省だと思うのですが、働きかけたり、それからミャンマーの人ですと退去強制令書が発付されて、仮放免の大変厳しい生活状況にある方が後を絶ちません。
今回、ウクライナ避難民の緊急受入れ対策とやはり余りにも差があるのではないかという声が難民申請者から上がっています。今、現在の難民認定制度は、統括的な難民保護政策の確立に向けた取組を、今回のウクライナ避難民の受入れということを契機にして、政府全体で見直す必要があるんではないかと、古川大臣は感じているか、あるいは、今のままウクライナの緊急避難対策だけでいいというふうに考えているか、お答えください。

大臣の回答がはかばかしくないのは常なので、法務省公式ホームページに上記引用部のようなテキストを残すことにのみ、意義を見出せるのかも。

■と思ったりしつつ、同日会見で言及されている次のやりとりはひとあじ違う

【記者】昨日、熊本県で死体遺棄罪で逮捕され、地裁及び高裁で有罪判決が出されたベトナム人技能実習生リンさんの最高裁への上告趣意書の提出と無罪を求める嘆願書の提出が、弁護団によって行われました。どの程度事件のことを大臣が把握されているかどうかはっきりしませんが、取材する限り、このベトナム人のリンさんは2018年8月に来日しました。その後、2019年の3月に法務省入管として、妊娠等によって技能実習生が不利益を被ってはならないという通知を出しているそうですが、監理団体や農家の方から、そのような話は一切、リンさん、また、一緒に雇用された20代のベトナム人技能実習生は聞いていないと話しているそうです。こういう通知の内容がしっかり本人に伝わらない中で、妊娠をしたことを誰にも打ち明けられない中で、彼女は孤立出産をしています。しかしながらこの結果として、死体遺棄罪で逮捕・起訴され、有罪まで持ち込まれてしまいました。
大臣にお聞きしたいのは、この監理団体、熊本ワールド事業協同組合というところなんですが、彼らがしっかりと技能実習生、熊本に8000人ぐらいいるらしいのですが、特に女性たちに、妊娠や出産、意図しない妊娠というのはたくさんあると思うのですが、こういった場合に、「あなたたちは妊娠したことをしっかり雇用主に伝えて、それが不利益を被らないように手当てされるんですよ」ということをその実習生に伝えなければ、彼女たちが妊娠したときに伝えることもできません。監理団体側は伝えたと言っているそうですが、弁護団はそのような話をもし聞いていれば、リンさんは妊娠後孤立して出産する必要はなかったと言っております。昨日の会見でも、リンさんは全くそういう話を監理団体から知らされていなかったと言っています。また、非常に問題があったのは、死産をしてしまう2日前、監理団体側がいきなり妊娠検査薬で検査をしたらしいのですが、その時に、監理団体職員が「まだ若いから妊娠したら大変ですからやめてください」と言ったそうです。こういったことが、彼女を孤立させて、出産を隠すということにつながってしまったと思いますが、まずその孤立出産、それから外国人技能実習生の問題、それから特にアジア系の外国人に対する、この差別的な対応、意識ですね。こういったことを含めて、やはりこの監理団体に対する厳しい調査と指導を多分全くやっていない感じがするんですが、これどういうふうにやっていくおつもりなのか、本来管理する技能実習機構(OTIT)に対してもしっかりとした調査ができていないんじゃないかという話が出ています。この監理団体の在り方、そして技能実習機構の在り方、妊娠出産に対する対応、大臣としてどう取り組むべきと思うか、御意見をお願いいたします。

【大臣】まず、個別の事案については、コメントすることは差し控えたいと思います。その上で、技能実習制度の在り方については、様々な御指摘や御意見があるということを、私自身よく承知しております。そこで、御案内のとおり、法務省内に特定技能・技能実習制度に係る法務大臣勉強会を設置しまして、今、幅広く各界の意見をお聞きしたりするなど、この論点の整理について鋭意進めているところです。
このように、様々な御意見もしっかり幅広く虚心坦懐にお聞きしながら、あるべき制度の姿となるように、不断の努力をしていくという私の姿勢に変わりはありません。

法務大臣閣議後記者会見の概要 令和4年4月12日(火)

質問した東京新聞の記事(下記)より、この長々としたQ、短いAのやりとりのほうが事情をよく伝える、と私は思うんですよね。

言わずもがなですが、リンさんの判決についてはずっと注目しています。

本質は同じだと思った今週の地方ニュース

■このところ目立って外国人関連のニュースをとりあげるNHK地方放送局、今週はこんな感じ

わりともう何も感じなくなってきましたが「人手不足の解消に」「技能実習生を受け入れ」って報道するのは元来ものすごくおかしなことなんですけど。まあNHKですら、というべきで民間メディアはもはや何の躊躇もない。

ただ、「人手不足の業種が人材を海外に求める仕組み」たる特定技能においてのみ、そういう言い回しは限定されるべき。という原則論を忘れすぎなことは指摘しておかねば(という謎の使命感)。

■続報待ちの2件

■最後、あまり話題になっていない気もするけど今週私が読んだなかでは読後、記事について考える時間がいちばん長かったテキストはこちら

入管法で決められたことだから、母国に帰れないのは個人の事情だから、「生きていけない状態におかれてもしょうがない」のか。サヘルさんは、異を唱えます。(中略)「日本の社会は、外国の方の力を借りて築かれています。たとえば高い建物だって、違った国籍の人たちと一緒につくってきている。私たちはもう関わり合っているんです、無意識にいろんなところで」

私は、以前に、カナダの難民認定機関の責任者から、「助けを求めてやって来た人を難民として保護できることがカナダの誇りだ」という趣旨のことを聞き、感銘を受けたことがあります。難民認定手続に携わる者として、難民認定を出すことに悦びを感じていることがわかったのです。でも、日本では、難民認定を出すことには「悦び」ではなく「警戒」心が向けられています。
手続がすべて入管の枠内で行われているためか、参与員にとって、入管が「私たち」、申請者は「かれら」という意識も強い。入管と参与員が一体化する一方で、申請者はどんどん他者化されていく。

以下の図も、上記NHKハートネットから。

各国における入管収容制度(難民研究フォーラムより抜粋)

日韓両国、どっちが先に抜けますか。って図に見えるのは私だけですかね。

"My Small Land"(2022), from IMDb

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