取材喫茶わわわの想い

取材喫茶わわわでは、喫茶と言いながら、コーヒーもケーキも出てきません。あるのは、ペンとノートと1台のカメラ、そしてあなたの話だけです。どこかでおいしいコーヒーを買ってきて、静かな場所でゆっくりと話を聞き、それから写真を撮らせていただきます。

僕らは、コピーライターと写真家という職業柄、これまでたくさんの人を取材し、撮影してきました。なかでも多いのは、企業で働く方々へのインタビューです。語弊を恐れずに言えば、皆さんどこにでもいそうな普通の会社員ばかり。でも、一人ひとりの話を聞くうちに、誰にでもその人にしかない物語があるのだと思うようになりました。

「取材をされる」ということは、あれこれと質問に答えながら、自分のことを言葉にして話すことです。それまでの人生や仕事を振り返って、自分について再確認したり、忘れていたことを思い出したり、時には新たな発見をしたり。そうした体験を、僕らは取材者として手伝えるかもしれないと思い、この活動を始めることにしました。

一方で、取材喫茶わわわは、僕たち自身の創作活動でもあります。一人のコピーライターとして、写真家として、これからどういう生き方をしていくか、何か新しい表現や仕事の仕方ができないだろうかと、日々模索する中で行っている活動です。この制作の過程では、僕らと依頼者の方は発注者と請負のような関係にはなりたくないという思いがあり、取材・撮影については無料で行っています。お金をいただかない代わりに、さまざまな人生に触れさせていただき、それをもとに文章と写真による作品を作りたいと考えています。こうした思いをご理解いただける方を取材喫茶わわわの対象とさせていただきます。

是枝裕和監督が2作目に撮った「ワンダフルライフ」という映画をご存知でしょうか。この映画の設定では、人が亡くなると、あの世に行く手前で役場のような場所に集められ、そこで「あなたの人生でいちばん大切な思い出をひとつだけ選んでください」と言われます。自分の生涯を終えた人たちが、役場の職員からインタビューを受けながら人生を振り返り、最後に選んだ大切な思い出だけを胸に天国へと旅立っていく、そんな映画です。取材喫茶わわわでは、そのワンダフルライフを、いまを生きている日々の中でできたらいいなと思っています。

あなたの人生を聞かせてください。淡々とした日常を映すドキュメンタリーが僕らの背中をそっと押してくれるように、あなたの人生にも、誰かを勇気づける力があると信じています。


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