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戦争と紛争についてのMnemozineインタビュー(2)ミンダナオと東ティモールについて

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記者:フィリピンのミンダナオ島でのフィールドワークについてお話しいただけますか。

土屋:義理の家族に手伝ってもらいながら、昨年からカガヤンデオロ市を中心にインタビューを集めています。かなり早い時期からスペイン人たちが拠点を作っていた地域ですが、現在住んでる人々の多くは前世紀に移住してきたキリスト教徒たちです。冷戦期を経験している世代の人々の人生譚を集めることから始めて、どのように彼らが政府のプロジェクトでもあった集団移住、紛争、一般の人々の生活と「冷戦」を模した対立構造を経験したのかを明らかにしたいと考えています。私が出会った人には、農民、パフォーマー、兵士、密輸業者、教師などの職業に関わる様々なジェンダーの人たちや複数の言語民族グループの人々がいます。

背筋が凍ったのは、64回も人権侵害で告訴されている特殊部隊の元隊員にインタビューしたときです。彼は職務以外でも複数の人を殺めている殺人犯です。彼は家族に聞かれたくないと言うので、二人で川辺で話すことになったのですが、その時なぜか彼は鎌を携帯していたんです。結局、私は無事で、今でも彼と話に行ったりするわけですが。

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アジア研究、特に東南アジア研究の前線の話がかじれます。 それから、大手の出版局・大学出版局から本を出すことを目標にしてる人たちには参考になる内容があると思います。良い研究を良い本にするためのアドバイス、出版社との交渉、企画書の話など。

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