じいちゃんの声

「えらいなあ!すごいなあ!」
じいちゃんはいつもボクの味方
じいちゃん もう一度会いたいよ
小学校の卒業文集の
「夢がかなうなら」という一言メッセージに
「じいちゃんを生き返らせたい」と書いたよ

ボクが小さい頃 
よく駅のホームに連れて行ってくれた
電車の名前を全部いえたので
じいちゃんは「えらいなあ!本当にすごいなあ!」
とボクをまいあがらせた

小学校のときの夏休みの自由研究は
いつもじいちゃんと木工作りをした
胃を切る手術のときじいちゃんは
「死ぬのはしかたないと思っているから、手術はしない」
と言った
みんなで「悪いとこは切ったほうがいい」と説得した
じいちゃんはしぶしぶ手術した
でも体力がどんどん落ちてすいじゃくしていった
ボクも一緒になって「手術したほうがいいよ」
とじいちゃんの気持ちをムシした
じいちゃん ごめんね

学校帰りに一人で病院に行ったら
「よく来たな。一人で来たんか? えらいなあ!」
びっくりしてた
「病院の前の釣具屋で、好きなルアーを買って来い」
お小遣いをくれた

それからちょっとして
じいちゃんは死んじゃった
じいちゃんの「えらいなあ!すごいなあ!」という声
今も聞こえてくる

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