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歴史から考える、将来なくなる職業

こんにちは。
以前会社のとある研修にて、講師の人から「日本が西ドイツを抜いて世界2位の経済大国になったのはいつか知っていますか?」という質問が投げかけられて、待ってましたとばかりにドヤ顔で「1968年」と即答したら、キモすぎたのかちょっと変な空気になったことのあるくらい歴史好きの私が、今後なくなる職業を歴史的観点から推測したいと思います。

2024年現在、生成AIに多くのホワイトカラーの仕事が奪われる、と様々なところで言われています。それを聞いて不安に感じている人もいるかもしれませんし、AIなんかに奪われるわけないと思っている人もいるかもしれません。

実は、こうした「〇〇によって仕事がなくなる」といった歴史上何度も言われていることなのです。AIが特別なわけでも、今の時代が特別なわけでもなく、似たようなことは何度も繰り返されてきました。
それを振り返ることで、これからの職業がどうなるかについて考察していきます。

産業革命期のイギリス

18世紀中ごろ、イギリスでは世界で最も早く産業革命が起こります。それまで手作業で行っていたことを、機械によって行うようになりました。当時の最先端技術と言えば、蒸気機関です。蒸気機関が実用化されたことにより、紡績機などの生産性が飛躍的に向上しました。

それに対して反感を募らせたのが、昔ながらの手作業で織物を作っていた職人たちです。19世紀に入り、高い性能を持つ紡績機がますます普及するようになると、職人たちは自分たちの職が失われると感じ、機械の打ちこわしまで行いました。これが有名なラッダイト運動です。

しかし、その運動もむなしく、生産性を向上させる機械化の流れを止めることはできず、手作業での織物工業は衰退し、職人たちの仕事は失われていくことになります。
(ただし、産業"革命"というイメージほどには急速に変革が進んだわけではなく、現代からするとかなりゆっくりした進み方だったみたいですが)

ここで、職人による手作業から機械に置き換わったのは、機械の方が本質的に生産性が高かったからだと考えられます。つまり、以前は職人が手作業で作ることが最も効率的で安価だったが、機械の性能が上がり、価格が下がったことで、それを逆転したということです。
当たり前のことを言っているようですが、生産性に費用的要素を含んで考えることは意外と見落とされがちです。もし職人がかなりの低賃金で働き、多くの職人がいる社会であれば、いくら性能が良くても機械は普及しなかった可能性があります。

新たな技術と職業

イギリスで始まった産業革命は19世紀中ごろになると世界中に広がっていきます。工業化が進むにつれて、新たな技術が登場しては消えていきます。

技術の進展によって登場した職業の例としては、馬車運転士や電話交換手、モールス通信士などが挙げられます。これらの職業は産業革命以前(日本では明治時代より前)では見られませんでした。馬車、電話、モールス信号といった新たなサービスや技術の登場によって、新たな職業が生まれたのです。

一方で、これによって淘汰された職業も存在します。例えば、江戸時代の飛脚などです。江戸時代、遠距離の通信は飛脚と言われる人たちが担っていました。彼らは文書などを物理的に走って届けることで情報を伝達していました。

しかし、電信技術により、圧倒的な速度で情報の伝達が可能になり、飛脚の需要は激減しました。
このように、新たな技術の登場により、生まれる仕事と無くなる仕事があるのです。そして新たに生まれた通信士などの仕事も、やがて新たな技術の登場により、なくなっていくことになります。

ここで、消えていった職業は、その当時の技術や仕組みに依存していた職業だったということです。馬車が自動車や鉄道に変わることで馬車の運転士は必要なくなり、モールス信号から電話になることで通信士の仕事は必要なくなるわけです。特定の要素に依存していると、それが変化した際に消えてしまうことが多いです。

戦後の日本

比較的最近の時代である、戦後の日本でもなくなった職業は多いです。例えばタイピストや醤油売り、靴磨きなどです。
また、そのように分かりやすく消えた職業ばかりではなく、徐々になくなっていった職業もあります。事務員(多くの企業ではいわゆる「一般職」が担っていた)などです。現在も完全になくなっているわけではありませんが、多くの企業では事務だけを行う人員を削減している傾向にあります。金融や商社でも一般職を廃止し、総合職と統合するなどの流れがあります。

これの理由としては、周辺職業の生産性が向上した結果、時間的余裕ができ、その範囲まで染み出していったからだと考えられます。事務員の例で言うと、昭和の時代は営業担当が資料を作成したり、会計作業をしたりするのはかなりの労力でした。パソコンはおろか、電卓すらない時代、経費精算も一苦労で、とても両立はできず、担当が分かれていったのです。
しかし、パソコンやその中のソフト(Excelなど)が普及したことで、営業担当であっても空いている時間に資料作成や経費精算などの作業が十分できるようになりました。それにより、その業務を専門で行う人を置いておく必要性が薄まっていったのです。

今後なくなる職業

ここまで、歴史における職業を見てきました。整理すると、消えていく職業には以下の3つのパターンがあると言えます。

  1. 新たに登場した方式に比べて、本質的な生産性が低い

  2. 特定の技術や仕組みに依存している

  3. 生産性が向上した周辺の職業から染み出す余地がある

一部重複している要素や、他に考えられる要素もありますが、概ねこのような要素はあるのではないでしょうか。

ここから考えると、以下のような職業(職業のうちの一部の業務も含む)がなくなる可能性が高いと考えられます。

トラックドライバー
→自動運転技術により置き換えられる可能性が高い

Excel、PowerPointなどの技術を活用した資料作成業務
→これらのツールが代替されると、そのツールに関する技術や知識は価値のないものになる(その下地となるロジカルシンキングなどは含まない)

デザイナー
→生成AIの発達により、例えば営業マンが自分で思うようなイラストを描けるようになると、需要が減少する

もちろん、これらの職業がなくなると断言はできませんし、他にも無くなる可能性が高い職業はあると思います。
ただ、これまでの歴史の法則に当てはめるとこれらは無くなる可能性が高いと考えられます。


ちなみに

いかがでしたでしょうか。
このように、歴史を辿ると、いくつもの職業が生まれては消えてきています。そのため、その傾向を考えることで、今後消えうる職業もある程度予測できるようになります。

ただ、次々に新たな職業が生まれてもいるため、仮に今の職がなくなっても、次の職を探すことはできそうです。重要なのは、汎用的なスキルを持つことと、新たなルールに適応していくことなのではないでしょうか。

ちなみに、、
私の歴史考察は、

①特定のテーマに関する歴史的な事実を集める

②傾向を捉えて一般化する

③一般化したルールに沿って現代を当てはめる

という流れで考えています。

これは、具体→抽象→具体とも言えますが、ビジネスにおいても具体と抽象を往復することは物事の理解を深める上で非常に重要です。

ただ、私は具体→抽象は得意ですが、抽象→具体はどちらかというと苦手な傾向があるので、ここはもう少し高めていきたいところです。。
何か良いコツなどあればぜひ教えてください!
今回もお読みいただきありがとうございました!

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