NICOさんの庭 鎌倉石窯ガーデンテラス
久しぶりに鎌倉の浄妙寺さんの中にある『石窯ガーデンテラス』を訪ねた。
その後、あの庭はどうなっているのだろう。
まずは、エントランスより。
たわわに花をつけた柏葉紫陽花やアナベルがが枯れた花をつけたままで迎えた。自分の庭ならば、夏の間に花だけ切り取ってしまうところだが、このままにしているのには、何か意味があるに違いない。
少し寒くてどんよりとした雲の下、雨もポツポツと落ちてきた。
それでも、私たちは迷わずテラス席を選ぶ。
まずは、スイーツ。飲み物はやはりここではハーブティーよね、と。
『アフターワーク』という名のローズヒップの赤色が鮮やかなハーブティー。仕事で少し疲れている上に、坂を登ってきたのでピッタリだ。
ひとしきり、近況報告を済ませ、雨が小降りになるのを待ち、いざ庭へ。
実は5年前のほぼ同じ頃、同じ友人とここを訪れている。
驚いたのは、同じダリア が同じように同じ場所で咲いていたこと。
宿根草なので同じように生えてくるのは当たり前のことだが、5年間保たれていたことに驚いた。
観光地のガーデンの多くは見栄えのため『整える』ことが主になり、季節ごとに総取っ替えのこともよくあること。
こうして、植物がその場所に時間をかけて馴染んでいくのを見ると嬉しくなってしまう。
藤袴、吾木香、セージ、コスモス、枯れた紫陽花、グラス類が控えめに秋の庭を彩っている。
とりわけ今は、秋明菊が見頃。
色の濃いピンクの秋明菊が風に揺れる小径。
いくつかの枝は風でかなり自由に暴れている。
でもそこが、自然でいい。
ひとしきり庭を巡った後、『石窯パン』なのだからパンを購入しなくちゃと、最後一つ残っていた好物の『粒あんぱん』を購入した。
レジで袋はいらないけれど小さくコンパクトにしたいと申し出たところ、ちょうど居合わせたオーナーと思しき女性が、綺麗なペーパーナプキンで包んでくれた。
ついでに、庭のことについていくつか質問すると、いろいろ丁寧にお話してくださった。
この庭は、元々日本庭園であり、ガーデナーのニコラスさんは、鎌倉の周囲の自然のとかけ離れてしまわないように、いくつかの木も残し、庭を作っていかれたとのこと。
確かに、植生も違う場所にここにガチなイングリッシュガーデンを持ち込んでも馴染まないだろう。
また、草取りや伸びた剪定などの手入れは、スタッフさんが日々少しされているのかと思いきや、月2回ほど手入れにいらっしゃる時に全てご本人にお任せされているとのこと。
このお話を聞いて、エントランスの紫陽花が枯れた花のままでいたり、自然に再生しているダリアのことにピントきて、この庭の作り手の庭に対する考え方やそえぞれの意味が少しわかった気がした。
自然を使って、それを生かし、美しく保つ仕事は思い通りにならないことの方が多いと思う。しかし、それを十分理解した上で、半分は自然に任せることの方がきっと上手くやっていけるのだろう。
私は、時間と共に変化し、人の力では及ばない自然を使って表現する『庭』は、どんなアート作品よりも魅力を感じる。
また、数年後に訪ねてみたいと思う。
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