ボンネットは新緑　イタリア大使館別荘

初夏の中禅寺湖を訪ねる1day short trip.
そこには素敵な建物があるとHは言う。

向こうには湖の水面が煌めく　GRⅢ撮影

指定の駐車場から暫く緑の中を歩く。
風はやや強め。眩しい水面を背景に若葉が輝く。
波音とざわざわと葉の擦れ合う音だけが聞こえる。
国立公園内とあって余計な人工物も見当たらず。
また、高地で風通しが良いせいか、木々や葉には虫食いあともほとんどなく、思いきり大きな黄緑色の葉を広げている。
完璧な初夏の午後。

イタリア大使館別荘　GRⅢ撮影

自然に溶け込むようにイタリア大使館の別荘は立っていた。
木造で、木と竹のパターンによる、内外装の美しさ。
思わず、ため息が出る。
またしても、完璧なロケーションによる完璧な建物。

リビングからの眺望　GRⅢ撮影

室内からの眺めは、1Fリビング、２F寝室、何処を切り取っても絵になる。
遠い昔のここを訪れた人々の時間の過ごし方を想像しながら、暗い室内から、揺らぐ古いガラスを眺める。
時間を忘れて、いつまでも居れそうだった。
目で見て肌で感じるこの感覚は、写真では到底超えられそうにない。
多分、カメラなど必要ない、真に贅沢な時間を過ごしていたに違いない。

ガラスの揺らぎ　GRⅢ撮影

もっとゆっくり過ごしたいと言う思いを残し、ボンネットに新緑を映しながら、クルマはまた、幾重にも蛇行した山道を降って行く。
多分、この新緑の記憶にはもう会えないだろうと思いながら。

ボンネットは新緑