見出し画像

フイルムで果物を撮る

夏から秋、冬と果物のバリエーションが目白押しで、花と共に果物の形や色、質感に惹かれて、写真を撮っている。
いわゆる 『果物版 still-life-photography』
無論、デジタルカメラは色や質感を忠実に細部まで再現すると思うが、フィルムで撮ってみたらどうなるだろうかと色々試している。

洋梨。
50年以上前のオールドレンズ、Leica DR-summicron とモノクロフィルムで撮ると洋梨と膝掛けの質感が『鉛筆画』のような荒いタッチで表現された。

Leica M4 / DR-summicron / kodak Tri-x-400 

分割してみると。

Leica M4 / DR-summicron / Kodak Tri-x 400

『桃』は好きな果物で、今にも『かぶり付きたくなる』あの薄皮の産毛の質感を表現したくて、モノクロ、カラーと沢山写真が残っている。


Leica M4 / summicron 50mm 2nd / Kodak Tri-x 400
マン・レイの図録と桃
Leica M4 / summicron 50mm 2nd / Kodak portra 400

ところで、絵画で静物画といえば『セザンヌ』だが、文献を読むとセザンヌの静物画はただ忠実に描いたものではなく、『多視点』で描かれているところが、それまでの絵画の歴史を覆した凄いところらしい。確かによく観るとテーブルも真っ直ぐではないし、器も歪んでいる。果物もあの状態だと今にも転げ落ちそうで、静止してはいないはず。

しかし、『写真は正直』だから、絵画と違い立体感はほぼ忠実に映し出す。
では、何処にわざわざフィルム写真で撮る面白さがあるのか。

個性的な葡萄、ピッテロビアンコ。
実際の味はとても爽やかで美味しかったのに、上の『桃』と違い、やや色も沈み『美味しくなさそう』に見える。いわゆる『フィルム味』だ。

『美味しくなさそう』は、人間の想像域。
味は、写真ではわからないし。
人それぞれ見方も感じ方も違う。

特にフィルムで撮ると、不明瞭さ陰影が、『想像の幅』を広げるので、面白いなと思う。自分だけの視点だけでなく、他人様の視点をも想像して楽しんでいるということなのかもしれない。
『多視点』でなく『他視点』なのだ。

ピッテロビアンコ
Leica M4 / summicron 50mm 2nd / Kodak portra 400



この記事が参加している募集

#カメラのたのしみ方

55,011件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?