マガジンのカバー画像

花譜

82
四季の花や植物との出会い。古道具と花、写真で綴る短いエッセイ。
運営しているクリエイター

#春

秋のブーケ 私の花仕事

私が、もうかれこれ13年もの間、担当している花の仕事がある。 花の通販サイト『花問屋アソシエ』さんでの『花レシピ』の製作と撮影。『うきうき花レシピ』という、気分も揚る名前をいただいている。 毎月一回、季節の花の紹介とそれを使った作品を製作し、撮影する。 事前にデザインを決めて、花材を発注。 当日は丸一日かけて8作品程度製作しながら工程を撮影していく。 今年からは動画撮影も加わり、どうお見せしたらいいいか工夫しながら、スタッフ皆で試行錯誤しながら進めている。 特に、プロのカメ

春の兆し

久々のnoteになります。 昨年末から今月にかけて、言葉にならない位の不運なことが連続。 一度立ち直りかけた気持ちもすっかりへし折られて、冬空を見上げてはため息ばかり。 冬の裸木もそれはそれで美しいと感じる。 水面に映る揺れる枝先も。 ダメな時はあがいてもダメ。時を待つしかないことを学ぶ。 目に映る自然の映像だけが真実。 3ヶ月の間、花や写真にも気持ちが離れてしまった。 カメラも断捨離しようかな、とまで考えていた。 何かを発信する力もすっかり無くなって、SNSも辞めたく

浦島草

浦島さんは、小船に乗って釣り糸を垂れたとさ。

あの日の白木蓮

急な冷え込みが2日ほど続き、ようやく春の暖かさが戻ってきた。 もし、私が自分の庭を持つのなら、白木蓮をシンボルツリーにしたいと思っている。 春になって、何もない枝から、ぽっと白い鳩が次々に増えていく様子は、マジックのようでもあり、 幸福感が溢れているから。 そろそろ、あの家の白木蓮も見頃を迎えるに違いない。 M4を持って出かけた。 途中、ボケや椿、桜もちらほら、満開のミモザの下に入り、誘惑は沢山あったが、今日は白木蓮だから。 近くまでついてもなぜか、白い塊が見えない。

春暁

三寒四温、窓の結露と朝日。

椿

椿、微笑む。

椿の印象

木に春と書く椿。 早いものは、12月ごろから咲き始める。 冷たい空気の中にも春の予感。 出始めの椿は、やはり凛とした白がいい。 そして三月、今や椿の季節もたけなわ。 この時期、ご近所より集めてこれだけの種類が手に入る。 椿は、古来より愛されてきた花で、沢山の園芸品種があり、色や花型も数えられない位。園芸品種はとても華やかだ。 まさにシャンプーのコマーシャルのよう。 椿は、生存戦略として、花を葉の下につけ、下向きに咲くそうだ。 雄しべや花も、虫のいない寒い季節に、鳥たちに蜜

大人になったら梅の花

昨日、毎月恒例の下田の友人の家を尋ねた。 ここのところの暖かさで、もう終わりかけた河津桜と梅の花が山里に白やピンクの色彩を添え、じんわりと春ののどかさが伝わってきた。 お寺の庭で美しく剪定された梅の花も凛として流石、と思うのだが、 寒い冬を越えて、ボツボツとそしてフワーッと野放図に咲いてくる梅の花の逞しさ暖かさは、なんとも言い難い優しさがある。 さて、友人の庭では、梅の実栽培用の梅が咲いている。 ひと枝いただいて、写真に収めた。 若い頃は、春は華やかな桜に心奪われていた

春の球根植物を見つめる

昨日は、暦の上では『啓蟄』。 春の日差しの暖かさに誘われて、虫だけでなく、球根の花も咲き始めます。 秋に植えたアイリスの球根が昨日一つ、今日も一つ、と順に咲いてきます。 球根たちの体内時計って、不思議だなあと思います。 先週の花のワークショプでは、球根付きのミニチューリップやムスカリでいくつかデザインしました。 何もしなくてもタライに入れておくだけで可愛らしい。 参加者の方からは、歓喜の声。 自宅へ持ち帰り、今日で4日目。 初めは、閉じたり、開いたりしていた花も、もうこ

ふきのとう

『そろそろ出てきてないかな、ないかな』 今朝も冷え込み、霜が降りていた。 いつもの裏路地を歩きながら、『見つけた!』 この黄緑色の塊には、毎春心踊らされます。 蕗の薹(ふきのとう)、菜の花、さやえんどう。 冬の寒さが終わる頃には、黄緑色の野菜が多い気がします。 黄緑色は春の色。春をいただくのです。 今日は、山茱萸の枝と共に片口にいけました。 蕗の薹は、日本に古来から食用とされてきた植物だそう。 蕗の薹、ゼンマイ、土筆など、初めて食べようと思った人たちはさぞかし勇気がいっ

二月の菜の花

『菜の花や月は東に日は西に』与謝蕪村。 立春を過ぎました。 冷え込む毎日が続いていますが、雲が切れると日差しが強くなってきたことを感じます。2月は毎年、春の深呼吸をするために二ノ宮の吾妻山へ菜の花畑を見に出かけます。 菜の花は、牧歌的でどこか懐かしい。 どんどん陽のほうに向かってスクスクと伸びてゆく。 素直で、素朴。 でも実は、こぼれ種でどんどん増える生命力の強い植物。 今日は、戦前のイギリスアンティークのブリキのタライにいけました。ゴチャゴチャしてますが、この方が素朴

ミモザの記憶

ミモザの花は、昔から好きでな花で、幾つか思い出がある。 一番印象に残っているのは、スペイン旅の途中、まだ一月なのにアルハンブラ宮殿の庭に咲いていたミモザ。揺れるミモザの枝とその背景は、まるで夢を見ているかのようだった。 今手元に写真がないことが、余計に記憶をくすぐるものだ。 次に、神奈川の内陸から湘南に転居したきた際に、地植えでも育つミモザを見て感動した。 当時働いていた生花店の店先のスペースにミモザの木を植え、それは翌年、翌々年とスクスク育ち、黄色の花をたわわに咲かせた。