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花譜

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四季の花や植物との出会い。古道具と花、写真で綴る短いエッセイ。
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#庭

秋のブーケ 私の花仕事

私が、もうかれこれ13年もの間、担当している花の仕事がある。 花の通販サイト『花問屋アソシエ』さんでの『花レシピ』の製作と撮影。『うきうき花レシピ』という、気分も揚る名前をいただいている。 毎月一回、季節の花の紹介とそれを使った作品を製作し、撮影する。 事前にデザインを決めて、花材を発注。 当日は丸一日かけて8作品程度製作しながら工程を撮影していく。 今年からは動画撮影も加わり、どうお見せしたらいいいか工夫しながら、スタッフ皆で試行錯誤しながら進めている。 特に、プロのカメ

梅雨前の植物の手入れ

本日は有志で植物の手入れをしている集合住宅の5月、6月の庭について。 まずは、5月初め。 今年は前年の剪定がよく、大手毬が見事に開花した。 実はこんな感じになればいいなあとセカンドハウスにも苗木を植えている。 白い花だけの庭をいつか作ってみたいと思っている位、白い初夏の花木には目が無い。4月に植えたばかりの柏葉紫陽花は葉が全部無くなるくらい、『鹿の食害』にあったが、隣の大手毬は芋のところ無事。来春無事に乗り切れることを願っている。 次に5月末には夏椿も咲き始めた。 夢のよ

セカンドハウス 『ヒメシャラの庭』

GWが過ぎて、セカンドハウスへ向かう週末の朝、出発時間に少し余裕が持てるようになった。 さらにいいことは、到着直前の街道沿いに地場産の野菜や植木などを販売している『道の駅』があり、出発を遅らせることでちょうど開店時間にぴったり間に合うようになった。 朝9時。地元の人たちで賑わっている。駐車場はあっという間に満車だ。 店内はどれも安くて新鮮なお野菜や果物が棚にぎっしり並んでいる。 もうそれだけで豊かさを感じ、気分が昂揚してワクワクする。 季節がもう終盤の夏蜜柑、今が旬の枇杷、

セカンドハウス 『静寂の庭劇場』

セカンドハウスの引き渡しが無事終わり、すぐに4月を迎えた。 庭のヒメシャラも芽吹き始め、野鳥のさえずりだけが長閑にこだましている。 本日は、手を入れる前の庭の話。 1月の内覧時は、ヒメシャラの大木の落ち葉の間に、日本水仙がポツポツと。その後2月から3月は純白の猫水仙(白房水仙)から黄色のラッパ水仙に自然と交代していった。 庭の隅には、鹿のフンと、木肌が剥げた幹あり。 暫くここの来訪者は、動物ぐらいだったのだろう。 前回も話したように、このフロントガーデンは暫く植栽はせず、

お庭探訪 山下公園、港の見える丘公園 

最近、想定外の事態に見舞われ、その収集に追われて疲れもピーク。 それでも、リビングのカーテンを開けて雨の朝、しっとりとしたバルコニーの植物を見ると心が安らぐし、晴れた日は小さなベンチでハンドドリップの珈琲をいただくと、短い時間でも自分に帰れる。 植物に囲まれていれば幸せなのだ。 改めて、自分の心を整えてくれる庭の大事さを知る。 さて、今日は、気分転換も兼ねて、最近の庭づくりで参考にしている場所のお話をしようと思う。 山下公園付近の植栽と港の見える丘公園のローズガーデン。 こ

雨の裏庭より

5月前半の爽やかな青空の日々から段々と梅雨に向かって季節は進む。 どよんとした雨や曇り続きのここ数日は、首凝りとちょっとした頭痛に悩まされている。 こんな時は、外に出てみるのが良い。特に雨上がりの新緑ミストは、体を優しく包んでくれる。 さて、植物の配置を整える為、二年前に大きく植え替えをし、迎えた今年の初夏の裏庭は、想像以上のボリュームになった。 5年くらい経っても、木が大きくなるばかりで全く花を付けなかった赤葉のスモークツリーが突然、今年ふさふさの大きな花を付けた。 雨

裏庭リノベーション

今日は、現在関わっている庭の話をしようと思う。 私が、一戸建てに住んでいたのはほんのわずかな期間で、人生のほとんどはずっと集合住宅暮らしだ。 これだけ花の仕事をしているにも関わらず、未だ自分の庭が持てないことが残念で仕方がない。 しかし、自然に囲まれた職場、伊豆の友人の畑、現在の集合住宅に最近はリノベーション中の別荘も加わり、それぞれの庭の手入れや掃除に関わらせてもらっているので、不満はないどころか、いいのか悪いのか気がつけば『また今日もか』と長靴を履いている時もある。 さ

NICOさんの庭 鎌倉石窯ガーデンテラス

久しぶりに鎌倉の浄妙寺さんの中にある『石窯ガーデンテラス』を訪ねた。 その後、あの庭はどうなっているのだろう。 まずは、エントランスより。 たわわに花をつけた柏葉紫陽花やアナベルがが枯れた花をつけたままで迎えた。自分の庭ならば、夏の間に花だけ切り取ってしまうところだが、このままにしているのには、何か意味があるに違いない。 少し寒くてどんよりとした雲の下、雨もポツポツと落ちてきた。 それでも、私たちは迷わずテラス席を選ぶ。 まずは、スイーツ。飲み物はやはりここではハーブティ

雨上がりの緑の庭から

今日は、暦の上では穀雨。 雨は、夏に向かってすべての植物の恵みとなる。 葉桜の木の下では、あちこちでライトグリーンの新しい葉が広がり始め、この時期の雨上がりの庭は、なんと美しいことか。 白やグリーンの初夏の小さな花も咲き始めた。 季節は、刻々と進んでいる。 好きな季節の幕開けだ。 少しだけ庭からいただいて、もう種ができてしまった春のクリスマスローズと薬瓶にいけた。

冬のクレマチス

先週の雪は、翌日あっという間に消えた。 その後、雪のような白いベルが一斉に開花し始めた。 冬に咲くクレマチス、クレマチス・アンスンエンシス。 別名ウインターベルだ。 蔓の節ごとに仲良く2つのコロンコロンとした花をつけている。 北風に共鳴し合う無数のベルたち。 クレマチスが好きで、数年前から育てていたものの、上手く花を咲かせられなかった。 冬のお散歩コース、他のお宅のフェンスにたくさん花を咲かせているのを見るにつけ、とても羨ましかった。 昨年の夏は、なるべく直射日光に長く

凛とした佇まい 日本水仙

友人の古民家、庭先の水仙。 まずは水色の空き瓶にすうっと一本、納屋の片隅にいけてみた。 この「すうっと一本」が、一月のイメージ。 年末からお正月の賑わいも過ぎ、冬の静けさが訪れる一月。 別名「雪中花」とも言われるように、凍えるような大地を割って、ゆっくりと花芽を伸ばし、花を咲かせる。柔らかな茎や葉からは想像できない、強い生命力を感じる。 花の大きさや、黄色や白と『スイセン属』と言われる水仙の種類は色々。 とりわけ、柑橘系にも似た爽やかで品の良い香りと、素朴であるが凛とした