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裏庭リノベーション

今日は、現在関わっている庭の話をしようと思う。
私が、一戸建てに住んでいたのはほんのわずかな期間で、人生のほとんどはずっと集合住宅暮らしだ。
これだけ花の仕事をしているにも関わらず、未だ自分の庭が持てないことが残念で仕方がない。
しかし、自然に囲まれた職場、伊豆の友人の畑、現在の集合住宅に最近はリノベーション中の別荘も加わり、それぞれの庭の手入れや掃除に関わらせてもらっているので、不満はないどころか、いいのか悪いのか気がつけば『また今日もか』と長靴を履いている時もある。

さて現在は、『緑と共生する』をコンセプトの元に建てられた30年超えの集合住宅に住んでいる。
今や木々は高く生い茂り、緑に囲まれて住んでいて心地が良い。帰宅時に門をくぐるとホッとするものだ。

庭木の手入れ、主に中低木と高木、生垣の剪定は、信頼のおける植木屋さん。今の植木屋さんになるまでは、あまり木の状態や全体のことまで気を配らない効率重視の植木屋さんだった。
今の植木屋さんに変わってからは、木の状態が生き生きし始め、先々のことまで考えて剪定やアドバイスを頂けるので、とても有難い。

ここ数年で、当初からあった裏庭の何本かの桜の木が倒れた。30年以上も経つのだから、当初植えられた木々も気候や土地の状態に合わず、ダメになってくるのも当然だ。必ず入れ替え時というものが来るのであろう。
昨日、健康が思わしくない木があったので、植木屋さんに伐採してもらったところ、やはり半分は死んでしまっていたようだ。

庭は、生きている。気候にも大きく影響を受ける。その先まで見越して計画せねばならない。勿論予算も絡んでくる。自然という、予期せぬ未来に対する責任との関わりだから、改めて仕事の難しさがわかる。

一方、地上に近い部分は集合住宅内のボランティアで『庭園委員会』を作り、草取り、手入れ等を行っている。緑地の広さに対して参加メンバーが少なく、清掃のお兄さんの日々の手を借りても追いつかない。夏は雑草に覆われ、井戸水から湧く小川が建物を取り巻く構造となっている為、薮蚊の襲撃、『ブヨ』にも何度か刺された。

剪定後の紫陽花を井戸水に浮かべた

昨年から、倒れた桜の木の周りを中心とした裏庭のリノベーションに少しづつ植木屋さんのアドバイスをいただきながら着手し始めた。

まずは、『勝手に植えられた植物の撤去』という、マイナスからのスタート。
一昨年までそれぞれが可哀想だからと言ってバルコニーで育てていたものが、ありとあらゆる場所に植えられ、放置され、統一感もなく乱立した状態だった。合わせて、鳥が運んできた種による勝手に生えてきた実生の木。大きくなりすぎた植物の剪定。
残せそうな植物は、その植物の特徴に合わせて日当たり等を考え、全体の統一感とバランスをみながら合う位置へ移動。
とはいえ、植え替えどきは秋から冬なので、昨年末は剪定と穴掘りばかりだった気がする。

集合住宅なりの悩みも色々あって、『目隠しの木を整えてほしい』『木から虫が上がってきた』『気に入っていた木なのにどうして移動するのか』『樹液が落ちる』等々。それぞれのご意見があって全部が思い通りとはいかない。せっかく良い樹形になっていたのに、知らぬ間にやむなく部分剪定さて残念な状態になることも。住民皆様の意見が一番だから仕方がないこともある。

ようやく今年の冬で大体の移動が終わった。花が咲き、紅葉が美しい中低木中心に整え、間は虫の付きにくいアガパンサスや紫瀾、熊笹、ギボウシ、グラス類などのカラーリーフとクリスマスローズ等でブランドカバーを行った。
でもまだ雑草を十分抑えられるまでには至っていないので、引き続き初夏から夏の蚊の襲撃に会いながらの『雑草取り』からは解放されないと思う。

クリスマスローズニゲルが開花し始めた

植え替えた植物は、翌年の成長が悪く、来春はどこまで根付いて花を咲かせてくれるかはわからないが、春からは順に
クリスマスローズ、桜、雪柳、連翹、山法師、ライラック、姫両部、夏椿、姫沙羅、ジューンベリー、エゴノキ、アガパンサス、ブルーベリー、梔子、紫陽花、アナベル、柏葉紫陽花、と順に花をつけてくる予定。

剪定を終え、葉っぱもほとんど落ちてしまった今は、さっぱりしすぎで大丈夫かなと不安になるが、春から初夏への妄想は膨らむ。
『待つこと、変化すること』という、時間をかけて愉しむことができる庭には夢がある。
なんでも短い時間で欲しいものが手に入れられるようになった世の中だからこそ、余計にその時間が大事に思えるものだ。

初夏は夏椿

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