いつも空を探している
季節が移り変わってゆく土地に暮らしていて良かったなとよく思う。四季が繰り返してゆくことは、再生を感じさせる。春が年にいちど必ず巡り来るように、「今回はだめだったけど、またやればいいかな」と信じることができる。
たぶんそうやって生き延びてきた。
季節は空からやってくる、とずっと思っていた。あるとき友人たちと話していたところ、空から来るんじゃなくて「風が運んでくる」という人も「光が変える」という人もいた。それぞれ感じ方が違うものなんだな、とおもしろかった。
都会のど真ん中で生活していると、空を探すのがほんとうに難しい。部屋の窓からは、隣のビルに半分視界を閉ざされ、その向こうにそびえる新しい超高層ビルが空をふさいでいるのが見える。
外を歩けば、コマーシャルだらけのビルの隙間から遠慮がちに空が覗いている。再開発の進む街にはガラス張りのビルが増えて、いつわりの空がひとびとを囲んでいる。
いろんなことが起きている。悲しいことやつらいこと。自分ではコントロールできないこと。
それでも、季節がまた巡ってくることを信じたくて、カメラを持ち歩くと空を撮りたくなるのだろうかと考えていた。