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「首」が問題だ

私は東京都内住まいだが、自粛の要請(自粛なのに要請とはこれいかに)に次いで緊急事態宣言が出されてからはや2か月あまりが経つ。食料の買い物という目的以外で最後に家を出たのは取材に出た3月27日だ。

この2か月で変わったことといえばオンラインによるコミュニケーションだろう。私は50歳からフリーランスなので、それまでの電車通勤からはとっくにおさらばしていたのだけれど、取引先に打ち合わせに行ったり取材や発表会に行ったりと、かなり外出していた。夕刻からの食事会もとても多かった。

それがまったく家を出なくなってすべての打ち合わせや取材や飲み会がオンラインに切り替わった(私の場合、多い順にZoom、Teams、Google Meetだ)。

顔出しオンラインでは、他の参加者のみならず、終始、自分の顔かたちと向き合わなくてはならない。こんなに長く、自分の顔を眺めたことなどこれまでの人生でなかったことだ。しばらく繰り返した時、悟った。

私は老けている。

それに気がついたのは、顔ではなく私の首に深く刻まれた2本の横皺だった。ちょうど薄着に切り替わり、デコルテを広く見せるブラウスなどを着始めたときに気がついた。不吉な影のようだった。

こんな姿を今まで人様にさらしていたのか。

それは、恐怖でもあった。

今まで、ほんの10分程度のスキンケアとメイクの時に鏡に映る姿と、ホワイトニングとスムーサーをアプリで効かせた自撮りを自分だと思っていたのだ。とんでもない勘違いだった。

検索してみると、ネック・デコルテ専用クリームもある。首専用の美容医療のメニューもある。今まで目に入らなかった。客観的に自分を見るという視点に欠けていたといわざるを得ない。

ふらふらと検索を続けていると、ネックカバーなる商品があることがわかった。首元のUV対策アイテムらしいが、「気になる首回りに」とさりげなく書いてあることを私は見逃していない。

以前、イタリア・ミラノにおしゃれマダムたちを取材に行った時は、デコルテや生足をババーンと出した彼女たちに感銘を受け、私も年配になったらあのようにババーンといこう、と思っていたのであるが、貧弱な私の首筋とデコルテは露出しても迫力などないのだった。

これから夏になり、ますます首元は露出していく。今、気がついたことをよしとして、まずはクリームをすり込み、ネックカバーを買ってみようと思う。

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