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【ショートショート】ご応募はこちらまで

 北の帝国の情勢がどうやら不穏らしい。相次ぐ政治家の不祥事に国内の不満が溜まっており、国外に脱出を図る国民が後を絶たない。
 これに目をつけたのが自由主義国だった。今なら彼の国のスパイを大量に引き抜くことが出来るかもしれない。大統領は手段は選ばなかった。ネット広告にテレビCM、SNS経由でダイレクトにコンタクト取るなど秘密警察のはずなのだが堂々と宣伝して人員を集めろと命令する。しかしいっこうに集まらない。
 業を煮やした大統領は秘密警察の人事担当役員を呼びつけて問いただす。
「採用が進んでいないと聞いているが、一体どうなっているのかね」
「はい、私から担当には応募してきた連中は全員不採用にするように言っております」
 まさかの役員の言葉に大統領は疑問の言葉を返す。
「なんだと、それは一体何故なんだね」
「お言葉ですが大統領、『これで今日から君もスパイだ!』などという広告で応募してきた奴らに国家機密を預ける気になりますか?」



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