【ショートショート】初期ステータス

「ふあああ……おはようございます、博士。なんです、そのおもちゃの銃みたいなものは」
研究所二階の自室から降りてきた助手は博士が手にしているものを見て首をかしげる。博士は徹夜したのか真っ赤な目で興奮気味に告げた。
「おお、助手ちゃんか。見たまえ、ついに完成したぞ。これがゲームの中に入れる装置じゃ!」
言いながら問答無用で助手の女の子にビームを浴びせる博士。
ビビビビ。
「ちょっ、まっ、私まだパジャマで……」
いきなりの事に慌てる助手だがもう遅い。
「ちなみにクリアするまで出られんから頑張るんじゃぞ〜」
「はあっ? なんだとこの」
助手の声は途中でか細くなり消えていった。

「博士」
「おお、助手ちゃんか、随分と時間がかかったの」
「そりゃかかりますよ、なんでよりにもよって乙女ゲームなんですか! 攻略対象のイケメンたちの第一声が軒並み『なんでパジャマなんだい』でしたからね!」
(そこから攻略できるのも凄いと思うがのぅ)
自分の事を棚に上げて博士は思うのだった。



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