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東京・板橋「喜楽」の酢豚900円とラーメン500円

 移転・建て替えが店選びを難しくしてまして。
 「新ピカの店は歴史がないからスルー」ができなくなり始めてるわけです。
 再開発やビルの建て替えに伴って移転したもんで、店構えはオープン直後に見えても、実は50年以上の歴史を持つ、なんて場合が珍しくなくなりつつあり。

 東京・板橋の「喜楽」はその典型でして。
 旧店舗の近くに移転してたんで由緒ある町の中華だなと気付いたものの、離れてたら気づかずにスルーしてたかも。

移転後の店舗

 ただし店名が今時じゃない。今時の店特有の自己主張がない。
 「幻」「伝説」「昔ながら」といったNGワードもない。
 場所柄、若者が新店舗を開きそうな立地でもなく。
 この奥ゆかしい控えめさに歴史の持つ自信を感じて入店。

 なんとオープンは昭和42年。私と同年じゃん、と。
 まずはビールで喉を潤し、珍しく酢豚900円に挑みました。
 街の中華でも酢豚は1000円超が珍しくないのに、この値段は朝鮮に値するだろうと。

酢豚900円と店置きの「キングダム」

 で、店置きの漫画を選択。「キングダム」ですよ。
 やっぱ漫画と出会う場所でなくちゃね。

 カラッと揚がった豚バラ肉の香ばしさと、油通ししたきゅうりの青臭さ、甘酢餡の旨みがえも言われぬうまみを醸し出してまして。

 これはいけるな、と。

 酢豚とビールでも十分だったんですが、いけるお店で麺を食べないわけにはいかず。
 タンメンで野菜をとるか迷った挙句、ストレートにラーメン500円を追加しました。

ラーメン500円。卵の半熟具合、チャーシューの火の通りも絶妙かと。

 大正解。

 個人的には醤油が強くややしょっぱいかな、とも思ったのですが、その塩味がスープにキレの良さを生んでおり。
 もちろんしょっぱいだけじゃなく、出汁の旨みと見事に調和。
 オーケストレーションで誤魔化さず、サックスやベースの音がくっきり浮き出るカルテットの演奏にも似て。
 麺との絡みもよく、シンプルなのにグッと主張する見事なスープかと。

 また来ます。

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