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楽器練習日記 2:ベースが欲しい!

 こうして楽器屋にスティックを預けた私は選択を迫られることになりました。
 スティックが戻ってくる11月までのあいだ、何もせずにおとなしくしているか、それとも練習用に他の楽器を買うかです。

 スティックのために色々と買い揃えたので、もうあまり金を使いたくないという思いもあります。
 しかし一方で、せっかく楽器欲に火が付いたにもかかわらず無為に時を過ごすというのもきついです。
 そこで私は、自分の欲しい楽器が売っていたら買う、それ以外は買わないと決めました。
 私の欲しい楽器とは、TUNEのベース、TWBの6弦モデルです。
 理由はかっこいいからです。

 はるか昔、スティックを買った楽器屋でこのTWB6弦ベースを見かけてこちらも買ったのですが、当時仕事が忙しくなったこともあり、ろくに弾かないまま手放してしまいました。

 そういうわけで探し始めたのですが、4弦モデルや5弦モデルは売っているのですが6弦となるとなかなか売っていません。中古で何点か出ていたのですが、自分の納得できる状態ではありませんでした。

 しかし一度欲しくなるととにかく手に入れたくなってしまうのが私の性分です。つい先日まではまったく気にも留めていなかったのに、今は欲しくて仕方ありません。
 ことあるごとに都内の楽器屋を巡ってみたのですが、一軒も在庫がありません。
 ネットで在庫検索をかけるのが日課となりました。

 そんな10月初めのことです。検索をかけてみると中古で出ていることに気が付きました。
 説明書きを読む限り、そんな悪い状態でもなさそうです。私は店に行って実機を見せてもらうことにしました。
 写真で見るよりボディの木目もきれいで傷もほとんどありません。私はその場で購入を決めました。

かっこいい

 ストラップとケーブルも購入し、さっそく家でミキサーにつないでみました。
 おお、音が出る!
 それだけで感動です。
 バキッとした低音がヘッドホンから響いてきます。

 最初の内は音を出しているだけで満足だったのですが、一週間も経つうちに問題が出てきました。つまりベースの高さ問題です。

 音楽の入口がロックだったため、どうしてもベースは低く持ちたいという思いがあります。しかし低く構えると6弦にろくに指が届きません。
 見た目のかっこよさよりも弾きやすさを優先していくと、どんどんベースの位置は上がっていきます。

 そうこうしているうちについにストラップのベルト穴がなくなってしまいました。もっとストラップに穴を開けなくてはなりませんが、しかし我が家にはその道具がありません。
 私はストラップを持って服のリフォームショップへ行きました。そこで穴を開けてもらったのですが、1つで800円、2つ開けてもらったので1600円かかりました。

 そうして最終的にベースは私のみぞおち辺りに落ち着きました。見た目だけなら凄腕のジャズベーシストのようです。

 しかしここで第二の問題が発生しました。
 肩がとにかく痛いのです。

 せっかく弾きやすいポジションを見つけたのに、ベースを弾いていると左肩がどんどんと痛くなっていきます。
 肩が凝るとかそういうレベルを超えて、肩の筋が千切れそうです。

 これでは練習もままなりません。
 調べてみると、ベースを弾いていて肩が痛くなるのは割とあるあるな症状のようです。
 どうやら幅広のクッション性のあるストラップにすると改善されるようです。
 確かにその時付けていたものは適当に買ったぺらい革製のものであり、ベースの重さ約5キロがダイレクトに肩にかかってきます。穴開け代1600円がもったいないですが、そうもいっていられません。
 私は幅12センチのクッション付きストラップを購入することにしました。
 このストラップのシリーズにはもう少し幅の狭いものもあったのですが、大は小を兼ねる思想の持ち主である私は、幅広のものを選択しました。
 
 届いたストラップに付け替えて、さっそくベースを構えてみました。
 確かに肩に食い込む感もなくこれは快適ではないか、そう思っていたのですが――いや、やっぱり痛いな!? それに肩が全然上がらないぞ!?
 
 これはストラップ以外に原因があるに違いありません。さっそく調べてみることにしました。
 
 後者の方が全然上がらない問題についてはすぐに理由が分かりました。新しく買った幅広ストラップによるものです。
 
 当たり前のことですが、幅が広いということは肩を覆う面積も広くなるということで、肩の可動部分を上から押さえつければ、動きは制限されるにきまってます。大は小を兼ねる思想があだとなった形です。
 さすがにまたすぐ新しいストラップを買うのはためらわれるので、ストラップを思いきり首に寄せることでこれは解決しました。残る問題は肩の痛みです。
 
 原因はベースの重さが肩にかかることなのですから、ベースの重さが肩にかからなければ痛みはなくなります。簡単なロジックです。
 とはいえ、実際にベースの重さを減らすにはどうしたらいいのでしょうか。
 ベースを抱えて浮かせば肩にかかる重みは減りますが、それではベースは弾けません。
 座って足に乗せれば重みは減りますが、立って弾く時にはどうするのかということで、根本的な解決にはなりません。
 
 そこではたと気付きました。
 これ、ベース以外の重さも乗ってないか?
 私はベースをフィンガーピッキングで弾いているのですが、ストラップを短くしたことで、腕を乗せるのにちょうどいい位置にベースがきていたのです。
 つまり、私の肩にはベースの重さにプラスして自分の腕の重さがのしかかっていたのです。
 まったく無意識のうちにやっていたのでこんな当たり前のことに全然気づきませんでした。
 腕をベースから離して弾くようにしたところ、肩の痛みは軽減されるようになりましたがなくなったというわけではありません。やはりもっとクッション性の高いストラップを買うしかないようです。

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